北京
PM2.577
23/19
中日両国の学者が参加した「東海問題と中日関係」をテーマにした国際学術シンポジウムが29日に開かれ、中国で今年2月1日から施行された海警法が焦点の一つになりました。シンポジウムでは、「海警法の導入が地域の軍事力均衡にもたらした影響を懸念する声を中国としては知っておくべきだ」という日本側発言者の要望に対し、中国の国際法学者・羅歓欣氏は、「海警法は決して南海軍事化を促進するためのものではない」と答え、同法をもっと客観的かつ全面的に理解すべきだとする見解を示しました。
「東海研究フォーラム」で発表する羅歓欣副研究員
中国社会科学院国際法研究所副研究員の羅氏は、「海警法は中国海警に係争海域での武力行使権を承認し、装備の高度化と軍事同盟の展開に法的根拠を作り出した」という西側の解釈について「誤読」と指摘したうえで、同法の条文を挙げながら、以下の四点を強調しました。
まず、第2条第1項、第3条で明確にされたように、中国海警は武装警察部隊に属しているものの、海警機構(人民武装警察部隊海警部隊)はあくまで海上権益擁護の法執行に当たる存在であり、同法はあくまで海上権益擁護の法執行において適用するものです。また、第83条では、「防衛作戦等の任務の執行」には他の機関と法律の特別承認が必要であると強調しています。
次に、行政法では、代理権を授与され、法執行にあたるケースが多数あります。例を挙げれば、麻薬取り締まりに武器を装備した軍隊が警察当局に協力するケースや、有事の際に警察当局や行政などに軍事的職能の行使を認めるケースもあります。しかし、前者は軍事行動とはみなさず、後者は軍事行為という性質が変わらないのと同じように、中国海警は武装警察部隊の一部ではあるものの、国内法において、その行政的な法執行は軍事・武装行動には当たりません。
三つ目に、法執行も軍事活動も武器が使用される可能性がありますが、法律において両者の扱いが大きく異なります。平時の政府行為は「法執行」とみなされるか、武装された軍事レベルの「武力行為」とみなされるかにより、適用される法律などが根本的に違ってくるためです。法執行レベルの衝突を軍事や武装衝突にエスカレートさせれば、法的、政治的リスクが高まり、国家間の戦略的余地を狭めることになりかねません。
四つ目に、法執行における「武器使用」を「武力行使」と間違って翻訳された記事が広まり、悪い印象を増幅させている事態も起きています。海警法については、政府が作成・発表した公式文書をベースに全面かつ客観的に読み取る必要があります。中日間の交流においては、そうした誤解を極力避けるように努力する必要があります。
(記事:王小燕、校正:星和明)
関連ニュース