北京
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7月7日は二十四節気の小暑で、この時期は梅雨が明け、暑さが日増しに厳しくなるころ。あちこちで元気なセミの鳴き声が聞こえはじめ、サルスベリは鮮やかなピンクの花を咲かせます。今回の中国メロディ―は小暑にかかわる歌をお楽しみください。
熱い風が吹く
中国で小暑のころは「熱い風が吹き、コウロギが壁を伝い、鷹が猛々しさを覚え始める季節」です。
小暑に入りますと、ますます蒸し暑くなり、風までも熱波に巻きこまれているようで、だるさを感じます。クーラーや扇風機、冷蔵庫がなかった時代、昔の人は夏を涼しく過ごすため、森や水に囲まれた場所で暑さをしのいでいました。風がハスの香りを運んでくると、暑ささえも風に吹き飛ばされるようです。
夏の風物詩・コウロギ
夏の風物詩といえば、多くの中国人がコオロギの鳴き声を思い浮かべることでしょう。北京にも以前からコオロギやキリギリスを飼う風習がありました。また、わざわざ夜に天橋や先農壇の空き地に行ってコオロギを捕まえる人もいますが、多くの人は市場でキリギリスを買ってきて、竹籠の中で飼い、夜、キリギリスのリズミカルな鳴き声を聞きながら眠るのが、北京の夏の風物詩でした。
中国の多くの地方では、コオロギを飼うだけでなく、闘コオロギの風習もあります。闘コオロギは五代時代に始まり、宋・明・清の時代に盛んになり、後に賭博の一種にまで発展しました。清の時代の作家・蒲松齢の名作『促織(こおろぎ)』は、皇帝と大臣たちが毎日闘コオロギに夢中になり、庶民にコオロギの献上を迫り、ついには死に追いやるという物語です。当時、いかに闘コオロギの気風が強かったかが分かります。
夏の歌手・ツグミ
夏の朝、北京の公園を訪れると、地元住民のおじいさんたちが鳥籠をさげて散歩する姿を見かけることでしょう。これは北京ならではの風景です。
北京のおじいさん達が飼っているのはほとんどがひばりやツグミなど。鳥たちの美しい鳴き声は北京の人々に愛されています。また、これらの鳥は他の動物や物体を真似して発声することもでき、特に子供の泣き声が上手です。
1920年代当時、北京のほとんどの喫茶店には鳥専用の「席」があり、鳥を飼う愛好家たちのために喫茶店に座ってお茶を飲んだり、おしゃべりをしたり、鳥のさえずりを聞いたりしていました。
番組の中でお送りした曲
1曲目 小暑(しょうしょ)
男性シンガー・伦桑さんの低く美しい歌声はゆっくりとしたメロディ―に乗って、夏の涼しい世界へ誘ってくれるようです。
2曲目 蟀梦人生(コオロギの夢)
この曲は歌手・墨明棋妙が歌ったもので、曲の前奏部分のコオロギの陽気な鳴き声が軽快なメロディーとともにとても耳に心地良く、凉しげな画面を想像させてくれます。
3曲目 画眉(メジロ)
中国西南部貴州のミャオ族の人々はメジロの鳴き声を幸福の象徴と考えてきました。ミャオ族の歌手阿幼朵さんが歌う「画眉(メジロ)」曲はミャオ族の人々の幸せな生活へのあこがれを歌っています。