【観察眼】中国の新出産政策は世界の人口問題にも寄与していく

　中国共産党中央政治局は5月31日、高齢化社会への対応に関する会議を開き、1組の夫婦が3人まで子供を出産できるようにする政策と、それをサポートするための措置の実施を決めた。

　この新しい動きは、発表直後から社会の関心を集めた。人口問題は中国人の生存と発展だけでなく、人類社会の安定と繁栄にも影響を与えるものである。先月発表された第7回中国国勢調査の結果によると、中国の人口は増加を維持しているものの、伸び率が低下しており、高齢化がさらに進んでいることが分かった。出産政策をさらに改善し、第3子を認める政策を実施することは、中国の人口構造の改善や、出産レベルの持続的な低下によるリスクへの対応、人口問題の総括的な解決に効果的であるはずだ。

　中国は長期にわたり、自国の国情に相応しい人口政策を制定してきた。

　1949年の新中国成立後、社会の安定や生産の発展、医療衛生条件の改善により、中国の人口は急速に増加して二度のベビーブームを迎えた。1960年代からは、人口と経済、社会、資源、環境との間の矛盾が現れ始めた。人口の速すぎる増加は国民生活の向上に直接的な影響を与えた。それを受け、中国は1970年代から計画出産（一人っ子政策）の実施を始めた。これにより、人口の速すぎる成長が効果的に抑制され、人口が資源と環境にもたらすプレッシャーは大幅に緩和された。国民の生活レベルと質の向上にもつながった。

　近年、経済と社会の発展に伴い、人口をめぐる状況は大きく変わった。出生率が人口置換水準を下回る状態が続き、高齢化が進み、労働力の長期的な供給が不足する傾向が現れ、出生男女比がアンバランスな状態となってしまった。そこで、長期的かつバランスのとれた人口増加を図るため、中国はタイムリーな出産政策の調整・改善を行った。それが、2011年11月に施行された、中国各地で夫婦2人とも「一人っ子」であれば子どもを2人まで産めるとする政策だ。その後、2013年12月に夫婦のどちらかが「一人っ子」であれば、子どもを2人まで産めるとする政策が、そして2015年10月からは条件の付かない、全面的な「二人っ子」政策の実施が始まった。

　出産政策の調整は成果を収めた。第7回国勢調査の結果を見ると、14歳以下の人口が占める割合は2010年の16.6％から2020年には17.95％に上昇した。政策の調整により、中国では累計で1000万人以上の子どもが新たに生まれた。出生人口に占める「二人っ子」の割合は2013年の約30％から近年は約50％にまで上昇した。そして出生人口の男女比は2013年の118対100から現在は約111対100にまでバランスがとれてきている。

　良い政策を根付かせ、そして花を咲かせるためには、それをサポートするための措置も必要である。第3子を認める政策においては、第3子を産むことを可能とすること自体よりも、新しく生まれた子どもの成長や教育の問題を解決することが重要となる。この点を考慮し、今回の会議では支援策も打ち出された。例えば、結婚、出産、子育て、教育を総合的に考えて、公平で良質な教育資源の供給、社会一般に恩恵を与える託児サービス、家庭の教育支出の負担軽減、出産休暇制度の健全化、女性の就業面の合法的権益の確保、結婚に関する悪習の取り締まりのほか、税収や住宅に関する支援の強化などが検討されている。これらの措置は出産に関する各要素をカバーしており、出産にまつわる悩みを緩和させ、出産する勇気がない、出産したくないといった問題の背後にある難題を真正面から解決しようとしている。

　高齢化は世界の趨勢であり、中国にとっては今後長期にわたって存在する基本的国情でもある。今回発表された政策は、高齢化問題に対応しようという中国の決意を表している。中国は、世界人口の約5分の1を擁する国として、世界の人口を安定させる上で自らが担う責任と果たすべき重要な役割をはっきりと認識している。今後もこれまで通り世界各国と連携して、人類のより美しい未来のために積極的に貢献していく。（CRI日本語部論説員）