北京
PM2.577
23/19
米国の新型コロナワクチンの分配は不均一で、ワクチン接種の規定もそれぞれ異なる。そのため、何千人もの米国人がワクチンを接種する目的で、フロリダ州などに集まっている。多くのカナダ人も米国フロリダ州にワクチンを接種するために走った。その上、インドの旅行会社には、広告を出し「ワクチンツアー」を宣伝し始めたところまである。
新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいる米国では、その強みを活かして観光客を呼び込む「ワクチンツー」という動きが出ている。ニューヨーク市内の駅では5月12日、観光客や通勤客を対象に無料でワクチンを接種する取り組みが始まった。ニューヨーク州では5月19日まで、州内にある13カ所の駅にワクチンを無料で受けられる接種会場が設置された。
使用されたワクチンは接種が1回で完了するジョンソン・エンド・ジョンソン製のものである。希望者は事前に予約しなくても、会場で身分証明書を提示すれば接種を受けられる。一方、米国のこうした「ワクチンツー」に対して、ワクチンがまだ十分に接種できていない国では「格差による不公平」と批判の声が上がっている。
同様に、日本人観光客は身分証明書を提示すればワクチンを接種することができるが、厚生労働省は「日本の予防接種法の規定に該当しない」として、副作用が発生しても賠償を受けることはできないとしている。
米国は経済正常化に向け、ワクチン接種の普及を最優先課題とするべきと考えている。このような「付加価値」を得られる方法でワクチン接種を普及させるのも、前例のない利己的な動きだ。米政府は、ワクチンを買い占め、ワクチン生産原料を独占することで波紋を起こしただけでなく、「ワクチンツアー」を開始して観光による経済復帰を刺激するなど、利己的な姿を見せている。また、米国の都市や州は通常、その地域の人口に基づいて政府から適切な量のワクチンを入手し、その分配を計画している。ニューヨーク大学グロスマン医学部のカイル・ファーガソン博士は、「ワクチン接種には予約、針の数、人的資源など事前に手配しなければならない様々な段階が含まれており、都市、州、国を越えてワクチン接種に来る人が増えると、その地域の本来の接種計画に支障をきたすことになる」と述べた。
ワクチン接種の根本的な目的は新型コロナウィルスの蔓延を根絶することにあり、ある種の利益を得るための存在になるべきではない。海外旅行に出られる人々は経済が相対的に豊かである。これは貧困層にとって、簡単に越えられないラインだ。ウイルスの感染は無差別であり、富裕層の防疫物資や衛生条件が比較的良好であることは間違いないだろう。ワクチンの接種は無差別に開始すべきであ。利己的な目的でこのような基準をこっそり決め、差別することは人権を踏みにじった行為であり、「無料接種で消費を刺激する」ことは損のない商売だ。(CRI日本語部論説員)