北京
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日本政府は放射性物質が含まれた福島第1原発の汚染水を海洋放出する方針を固め、13日にも関係閣僚会議を開いて正式決定するという。
専門家は汚染水を海洋に放出し、拡散結果の模擬試験を行った。初期は汚染水は日本東部海域にとどまるが、一年以降、中国の海域まで及ぶようになり、10年後には、世界すべての海域が汚染されることになることが分かった。
処理水には、除去が難しい放射性物質のトリチウムが含まれている。それでも、「薄めて海に流せば、科学的には安全だ」と日本政府は主張する。果たして、事実はそうなのだろうか?
米ウッズホール海洋研究所のケン・ブセラー博士は昨年8月、科学ジャーナル『サイエンス』への寄稿で、「汚染水を60年間貯蔵すべきだ」と主張した。半減期が12.3年と短いため、60年経過すればトリチウムの97%が消えるということだ。汚染濃度を原発レベルに下げるには60年以上貯蔵する必要があるということだ。60年が長ければ、少なくとも30年間の保管後に放流すべきだろう。30年ならトリチウムの80%が消える。日本政府も汚染水を放流するのに30年以上かかるとみている。
また、韓国の新聞「中央日報」日本語版は、「福島原発事故発生から10年が過ぎたが、セシウム検出率が上がったというのは、事故による汚染がまだ進行中という反証」とし、「日本政府は韓国の水産物輸入制限措置を『非科学的』と批判するが、今回の調査結果を見ると輸入禁止措置を維持するのが妥当だ」と主張した。
海洋放出については、福島の地元はもちろん、日本全国漁業協同組合連合会(全漁連)も「絶対反対」を掲げている。日本国内の原子力災害では史上最悪となった事故から10年、福島では漁業復興への努力が続いている。それにも関わらず、処理水を海洋放出するのでは今までの苦労が水の泡になりかねない。「再び風評被害にさらされる」と地元の漁業者らが反発するのも当然だろう。
地元の理解が得られないのに決定を急ぐ背景には、処理水を入れるタンクが来年秋に満杯になるという東電の事情があるようだ。しかし、敷地内でタンク置き場の拡張や近隣の土地を借りたりすることもできたのではないだろうか。
海洋放出によって海の環境や人体に与える影響だけでなく、漁業など地場産業に及ぶ風評被害が懸念される。国連の人権専門家は容認できないと批判している。国連の人権専門家は3月11日に声明を発表した。汚染水は環境と人権に大きな危険を及ぼすため、「太平洋に放出するという決定は容認できる解決策ではない」と述べた。さらに海洋放出は人権侵害に当たると警告している。このほか、中国外務省の趙立堅報道官は9日に北京で開かれた定例記者会見で、「日本は周辺諸国と十分な協議を行ったうえで慎重に決定してほしい」と勧告した。
新型コロナ感染症は世界規模で終息していない中で、もし、日本政府が福島原発の汚染水を海洋に放出すれば、放射性物質は人々の健康を脅かすまた一つの要素になるだろう。国際社会の警告を無視して、海洋放出決定を急ぐ姿勢は、日本国内だけでなく、全世界から非難されることになるだろう。(CRI日本語部論説員)