北京
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4月4日は二十四節気の清明に当たります。中国では清明節は先祖を祭って墓参りをしたり、ピクニックをしたりする伝統的な祝日です。今回の中国メロディーは清明節の春にまつわる歌をご紹介しましょう。
「春江花月の夜」
清明はちょうど仲春の時で、この時期、人々はようやく長く寒い冬に別れを告げ、春の息吹を満喫できるようになります。ではどこから春の息吹を感じられるのでしょうか?「激しい川の流れの中で」と言う人もいれば、「花を咲かせる風の中で」と言う人もいて、「人を感動させるメロディーの中で」という人もいます。今日まずお送りする「春江花月の夜」という名曲からは、中国の昔の人の春への思いを味わうことができます。
「春江花月の夜」は今から280年前の清の時代に伝わった名曲です。曲はまるで山水画の絵巻のようで、春の静かな夜、月が東の山に昇り、舟が川面にゆらゆらと流れ、花影が川辺にそよぐ景色を目の前に広げてくれます。10部で構成されており、第1部では、夕日が川面に映り、春風がさざ波を立てる様子が描かれています。第2と第3部分は、「月が東の山に昇ることと夜風がそよぎ、草花が揺れ、水の中に影が映り、ぼんやりしている様子を表現しています。第5部に入ってバンドが一斉に演奏されると、曲のテンポが速くなり、川面に白い帆が点々と浮かび、遠くから漁師たちの歌声が聞こえてくるようです。曲は第9部になり、クライマックスに突入すると、漁をする小さな船が満載で帰ってきて、波しぶきが飛び散ったり、オールが水面を叩く音がしたりするにぎやかな場面を表現しています。その後、音楽はまた穏やかで柔らかな雰囲気に戻ります。
「オオカリは南に帰る」
春が愛の使者のように、美しさを世の中にこぼし、花と緑の葉はロマンチックな夢を彩ります。春が美しいだけに、春をテーマにしたラブソングはその独特な魅力で多くの人々を魅了しています。例えば1979年に公開された映画「帰心は矢の如し」の主題歌「雁南飛(オオカリは南に帰る)」はその代表作です。
この曲は40年以上にわたって多くの歌手にカバーされてきましたが、その美しいメロディ―と真摯な感情で多くの人の心を打ってきました。映画「帰心似箭(帰心は矢の如し)」は1930年代、重傷を負って捕虜になった東北抗日連合軍の中隊長・魏得勝が敵から逃げ出し、彼を救った農村の女性・玉貞と愛を育む物語です。しかし結末は、傷が癒えた魏得勝が戦線に復帰するために、愛する玉貞と別れなければならなくなる切ないラブストーリーです。テーマ曲「雁南飛(オオカリは南に帰る)」は男女主人公の別れを惜しむ気持ちをうまく表現しています。この曲は東北民謡の特色を取り入れ、北国の美しい景色を配して、詩のような趣を添えました。ラブソングの歌姫・楊玉莹が歌った「雁南飛(オオカリは南に帰る)」は恋人に対する優しい愛を表現しています。とても感動的です。
オオカリが南へ飛んでいく
オオカリが鳴いて胸が張り裂けそうだ
あなたはまだ去っていない
春が来るのを待ち望んでいる
「清明上河図」
清明節といえば、中国では墓参りと祖先を祭る伝統的な祝日です。北京故宮博物院には「清明上河図」という国宝の名画が収蔵されています。今から900年余り前の北宋に開封という都がありました。「清明上河図」は清明時期の開封にある汴川の両岸の風景と町が繁栄する光景を描いています。
国民的人気歌手・ユゥガンリーが歌った「清明上河図」はこの名画をもとに創作されたもので、京劇とポップスを融合させ、ユゥガンリーが男女2種類の声で歌ったことによって、「ユゥガンリースタイル」を加えました。
ひらひらした上着
まちうりの小唄
時はあの時代にタイムスリップしたようで
すべてがぼやけているように見えるが
はっきりしているようにも見える
こんなに美しい絵巻
だれが描いたのだろう
その画面感にとんだ歌詞はまるで「清明上河図」の絵巻を目の前でゆっくりと広げてくれるかのようです。このように歌で名画を鑑賞するのはいかがでしょうか?