北京
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5日開幕の全人代・全国人民代表大会について、日本のメディアは今年、中国の経済成長目標を6%以上に設定したことに大きく注目している。実際、数年前から中国は経済成長のスピードよりも質を重んじるようになった。
経済建設を中心として、経済の高度成長は改革開放以降、中国の著しい特徴だと言える。ただし、数十年の高度成長を遂げた後、今後どの方向へと向かって発展していくべきかが近年の中国にとって大きな課題となっている。2017 年に開かれた第 19 回党大会では、経済分野に対して真っ先に「質の高い発展」を提出した。つまり、「規模・速度」を重視した粗放な成長から、「質・効率」を重視した集約的な成長へ転換している。2020年10月に開催した中国共産党の重要会議「党中央委員会第5回全体会議」(五中全会)で、「中国は質の高い発展段階へと転換している」と明記された。3年前に比べ、質の高い発展の修飾語は「中国経済」から「中国」に変わった。3月7日午後、全人代開催期間中、習近平主席は青海省の代表と審議した際に「質の高い発展」をめぐって詳しい解説を行った。
習主席は「『質の高い発展』は単なるスローガンではなく、経済分野に限らず、社会や文化、環境保全などのあらゆる分野で『質の高い発展』が求められている」と述べた。言い換えれば、第14次五カ年計画期間中、あるいはさらに長い間、「質の高い発展」は経済や社会発展などのあらゆる分野で指針として貫いていくと考えられる。
また、「質の高い発展」について、様々な誤解が存在している。例えば、それは経済が発達した地区が考えるべきことで、経済が発達していない地区とは関係ないという認識が存在している。この認識は誤っているに違いないのだが、それでは経済が発達していない地区はいかに「質の高い発展」を実現させるべきなのだろうか?これについて、習主席は「実情に基づき、長所を生かし、短所を補い、現地にふさわしい道を歩んでいくべきだ」とその方向を明確に示した。青海省を例として挙げれば、中国の長江や黄河など、大きな河川の源として、青海省は国の生態環境で重要なポジションに位置付けられている。そのため、青海省にとって、生態環境への保全は何より大事なことである。
このほか、「質の高い発展」について、「世界経済が低迷し、発展の原動力が不足する時期におけるやむを得ない措置ではないのか?」とする誤った認識もある。この誤った認識に対して、習主席は、「質の高い発展は一時、一事の要求ではなく、長期間に渡って堅持せねばならぬ要求だ」と明確に回答した。これは、質の高い発展の推進が便宜上の措置ではなく、社会主義現代化建設の全局に立脚した戦略的選択であることをはっきりと示した。
上述したように、質の高い発展は経済分野だけではなく、社会発展の各分野に対する求めであると同時に、経済が発達した地区のみではなく、すべての地区に対する求めでもある。その上、一時的な措置ではなく、長期的に実施していく方針であることも強調された。習主席が今回の全人代における発展の分野や地域、持続性から「質の高い発展」をめぐる詳細な説明は、今後の中国の発展に方向性を明確に示している。(CRI日本語部論説員)