【観察眼・「十四五」特別企画】(9) 「魂の値切り」とその背後にある中国医療改革の努力

2021-03-01 19:20  CRI

 2021年は中国にとって大きな意味を持つ年です。中国共産党の創立100年目――即ち「一つ目の『百年の奮闘目標』」(建党100年目までの“小康社会”の完成)の目標年に当たり、また「二つ目の『百年の奮闘目標』」(新中国成立100年目までの強く豊かで民主的・文明的な調和のとれた社会主義現代化国家の構築実現)においても、重要な前進の一年になります。

 そして、もう一つの注目は「国民経済と社会発展の第14次五カ年計画(2021-2025年)」の発足年となることです。第14次五カ年計画は今年の全国人民代表大会で審議・採択される見込みとなっています。

 これに際して、日本語部独自の評論コーナー『観察眼』では、第13 次五カ年計画(2016-2020年)期間の躍進を振り返り、この先の5年を展望するシリーズ「振り返れば歩んで来た道 新たな旅路は続く」を企画しました。

 中国の新年に当たる春節の時期に合わせて、ジャンル別に配信していきます。

評論シリーズ「振り返れば歩んで来た道 新たな旅路は続く」

9  「魂の値切り」とその背後にある中国医療改革の努力

 「7と4を結びつけるのはあまりよくない。患者にとっては、縁起が悪い(中国語では7と4がつながると『気死』=怒りで死んでしまうという言葉とほぼ同じ発音になる)」

 「世界最安値なんていうのはもうやめてほしい(それはもう値引き拒否の理由にならない)」

 「(値下げは)歯磨き粉を絞るようにしていては、話がまとまらない」

 これらは昨年末、中国医療保険適用薬品をめぐる国家医療保障局と製薬会社との価格交渉の場面。値切りの巧みさや根性強さから、「魂を込めた値切り」と呼ばれている。国家医療保障局の代表は少しでも値引きができるよう、1角(人民元の1元の10分の1)、1分(1角の10分の1)まで細かく交渉する。結果的に1種の薬の価格は、最終決定までに数十回のやりとりを経ることになる。交渉の結果、119種類の薬品が「国家基本医療保険、労災保険および出産保険適用薬品リスト(2020年)」に組み入れられた。交渉の成功率は73.46%、交渉に成功した薬品は平均して50.64%程度の値下げになった。3月1日から、この薬品リストは正式に発効された。

 1角、1分の小さな金額は、大きな民生につながる。値引きの数値を提案し、相手の返答を得てさらに値引きを要求するやりとりは、医療保険適用薬品をめぐる数多くの交渉場面の1つであり、医療改革における中国の努力の表れでもある。健康は国民の共通の願いである。「第13次五カ年計画」期間中、中国は人を中心とする発展理念を堅持し、医療改革を全面的に深化させ、重大な疾病の予防とコントロールを強化し、医療サービスのレベルを向上させ、国民の負担を軽減してきた。それにより、中国人の健康レベルは持続的に高まってきた。

 全国民医療保障制度の効率的な運用

 医療保障は基本的な民生事業である。1998年に都市部従業員基本医療保険制度が確立されて以来、中国の医療保障制度は絶えず発展してきた。保障のカバー範囲は拡大し、保障レベルや管理サービスも改善してきた。国家医療保障局が発表した統計データによると、現在、全国の基本医療保険加入者数は13億6000万人、加入率は約97%に達している。医療保障の全国民カバーが基本的に実現し、世界最大の基本医療保障システムが構築されている。

 一般市民が難病の治療薬を負担できるように、医療保険適用薬品の範囲も健全化してきた。3月1日から施行された医療保険適用薬品リストに収載された薬品は2800種類に達し、がんや希少疾患、慢性疾患、子ども用の薬品に対する保障範囲が拡大した。同時に、医療保険適用薬品の参入交渉や薬品の集中購入を通じて価格を下げ、診療費が高いという難題を最大限に緩和した。

 医療保険は、その公益性と徹底保障の性質により、新型コロナへの対応でも国民に恩恵をもたらしている。昨年5月31日までに、中国で入院治療を受けた新型コロナ感染者の1人当たりの医療費は2万3000元(約37万円)で、重症患者の1人当たりの治療費は15万元(約250万円)を超え、少数の重篤患者の治療費は数十万元もしくは100万元(約1600万円)にも上ったが、医療保険制度によって償還されている。また、現在、中国各地では新型コロナワクチンの接種作業が展開されているが、接種は無料で、費用は医療保険基金と財政が共に負担することになっている。

 「分級診療」の効果が顕著に

 分級診療制度は現代医療サービスシステムにおける基本的かつ重要な制度である。「第13次五カ年計画」期間中、中国は分級診療制度の構築を加速し、末端医療衛生における人材の育成を強化し、サービス能力を高め、大・中型病院が担っていた一般外来、リハビリ、看護などを末端医療機関に任せている。この制度は多くの地域で効果を上げている。

 その中で、北京市はコミュニティにおける衛生サービスセンター342カ所、衛生サービスステーション1602カ所を設立した。昨年10月末までに、北京市は計5158の家庭医チームを作り、家庭医のサービスを受ける契約に調印した人は794万5000人に上った。末端医療機関が受け入れる外来診察の増加幅は43カ月連続して二級病院と三級病院を上回り、外来診察サービスが末端機関に分流する勢いがみられている。

 上海市は、コミュニティにおける衛生サービス総合改革の中で、「1+1+1」契約サービスを試行している。つまり、住民は自由意志に基づき、家庭医と契約した上で、さらに1つの区級と1つの市級病院を選択して契約することができる。契約した住民は、家庭医を通じて、優先的に受診を予約し、必要な場合、大病院で適切な医師に診てもらえるよう支援を受けることができる。昨年末時点で契約者は800万人を超えた。

 安徽省は2980万人をカバーする81の密着型医療サービス共同体を設立した。ベテラン看護師など優れた医療資源がコミュニティへサービスを提供することを試行している。

 近代的な病院管理制度の着実な推進

 近代的な病院管理制度の構築は医薬衛生体制改革を深化させる上で最も重要かつ難しいこととなっている。「第13次五カ年計画」期間中、中国は科学的で有効な近代的病院管理制度の確立を推進し、公立病院の総合改革を進める中で著しい成果を収めた。2017年から、中国のすべての公立病院が総合改革を展開し、60年余り続いた薬品価格付加政策を廃止し、「薬の利益で医療を補う」というメカニズムに終止符を打った。多くの地域で「医薬分離」改革を実施し、登録費と診療費を廃止し、代わりに医療サービス料を設け、透明性のある薬品購入制度を始めた。新しいメカニズムは医療機関の安定した運営と発展を支えながら、医療衛生に向ける個人の負担を減らしてきた。

 北京市は2019年から医療消耗品総合改革を実施し、医療消耗品の価格付加制度を廃止した。これにより、6621種の医療サービスの価格を規範化し、北京市・天津市・河北省の医療消耗品の共同購入を展開し、薬品の集中購入と使用の試行を着実に実施するとともに、医療サービスの改善と医療保障改革を強化している。

 遼寧省の複数の公立病院は仕入れ価格のままで薬品を販売することを実現させ、病院のイメージを「薬品の販売」から「サービスの販売」へ転換させている。同時に、検査費用を引き下げ、医療サービス価格を合理化してきた。

 福建省三明市は病院長と医師に対して年俸制と業績に基づく所得分配制度を実施し、医療関係者の収入の透明性を高めた。

 医療改革は任重く道遠し。特に中国のような人口大国にとって、改革の複雑さと困難さは言うまでもない。しかし、どんな大きな困難にも、中国が医療改革を深化させ、人民のために健康な中国を建設する決意、自信と行動を阻むことはできない。中国は今後も難関を克服し、医療改革を前進させていく。

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10月29日放送分
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