北京
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2021年は中国にとって大きな意味を持つ年です。中国共産党の創立100年目――即ち「一つ目の『百年の奮闘目標』」(建党100年目までの“小康社会”の完成)の目標年に当たり、また「二つ目の『百年の奮闘目標』」(新中国成立100年目までの強く豊かで民主的・文明的な調和のとれた社会主義現代化国家の構築実現)においても、重要な前進の一年になります。
そして、もう一つの注目は「国民経済と社会発展の第14次五カ年計画(2021-2025年)」の発足年となることです。第14次五カ年計画は今年の全国人民代表大会で審議・採択される見込みとなっています。
これに際して、日本語部独自の評論コーナー『観察眼』では、第13 次五カ年計画(2016-2020年)期間の躍進を振り返り、この先の5年を展望するシリーズ「振り返れば歩んで来た道 新たな旅路は続く」を企画しました。
中国の新年に当たる春節の時期に合わせて、ジャンル別に配信していきます。
評論シリーズ「振り返れば歩んで来た道 新たな旅路は続く」
第2回 新春の爆竹より「エコライフ」の道を
中国の伝統的祝日「春節」を迎え、各地はお正月の雰囲気に包まれている。しかし、最も春節らしさを演出する「爆竹」は中国人の生活から遠ざかっている。大気汚染を防ぐため、近年、北京をはじめとする全国で約400以上の都市が「爆竹禁止令」を施行している。これは私たちが「伝統」を忘れたのではなく、「伝統」が代々に受け継がれていくための動きだ。新時代における生態文明への建設は、誰もが責任を担っている。環境問題が深刻化している今、伝統的な「爆竹」よりも見捨ててはいけないのが「緑の生態文明」を求めることだ。
青い空を守り続ける
かつて、中国の大都会や工業都市は大気汚染に悩まされていた。京津冀及び周辺地域はこれまでに大気汚染対策を実施する重要なエリアとなっている。2013年から、北京は大気汚染対策に力を注ぎ、大敵の「PM 2.5」へ戦いを挑んだ。特に「第13次五カ年計画」の期間中に、「大気汚染防止行動計画」、「青空防衛計画」を強力に推進してきた。2020年、北京市のPM 2.5の平均濃度は初めて1立方メートルあたり40マイクログラムを下回り、モニタリングを始めて以来、過去最低を更新した。年間の空気の質が良い日数は276日間となり、前年よりも36日間増加し、「優・良」の比率が75.4%に達し、9.6ポイント増となった。「北京市生態環境モニタリングセンター大気室」のエンジニア李倩さんは、「以前、空気の汚染データを管理していた時、濃度が高い日は300~400マイクログラムまで上がる時もあったが、今では150マイクログラムを超える日も少なくなった」と紹介していた。李倩さんは2017年から重度の汚染報告の記録に務め、当時は頻繁に記録を書き留めなければならなかったが、2019年に入ってから、記録の仕事はほぼゼロとなった。北京の空気状況から見ると、近年は徐々に好転してきたが、これは決して簡単に成功したわけではない。石炭、温室効果ガス、車、工業などへの削減措置を長い間に渡って行ってきた成果だ。国連環境計画(UNEP)が2019年3月9日に発表した「北京20年大気汚染対策と展望」報告書では、「北京の空気の好転は偶然に生じたものではなく、大量の時間、資源と政治意識を投入した結果である。世界中の他の地域へ貴重な大気汚染対策の経験を提供した」と書かれていた。現在、北京の冬に目を向けると、熱供給などを理由として空の色が失われることはなく、「常に青い色」が首都に定着し、美しい新境地となった。
オフラインもオンラインも緑化推進へ
日本の森林率は先進国の中では、フィンランドに次いで第2位。約2510万haあり、国土面積に占める森林面積は66.5%で、世界でも有数の森林国と言える。これは隣国の私たちにとって羨ましいことであり、今後の目標でもある。2020年12月17日、中国自然資源部副部長、国家海洋局の王宏局長は記者会見で、「『第13次五カ年計画』以降、中国は大規模な国土の緑化を加速してきた。森林率は23.4%に達し、森林の蓄積量は175億立方メートルを超えている」と報告した。中国の森林面積は徐々に拡大し続け、エコライフへの確実な一歩を進めている。また、オンラインでは、私たちも自分なりの形で「グリーンプロジェクト」を推し進めている。2016年8月より、環境保護に関する公益プラットフォーム「アント・フォレスト」が開設された。ユーザーは多種類の低炭素生活を「グリーンエネルギー」のポイントに交換し、本物の木を植樹するか、または相応の面積の土地を保護するかを選ぶことができる。実施からわずか1年間でユーザー数は3.5億を超え、現時点でおよそ5.5億のユーザーがオンライン植樹に参加している。一本の木を植えるために、徒歩や地下鉄・バス・シェア自転車、そしてオンライン読書などの新しい習慣を行うことがすでに市民の日常生活に根付いてきた。ネットユーザーの力で作り上げた「アント・フォレスト」公益プラットフォームはこれまでに2億本の木を植え、1200万トンの炭素削減を実現している。栽培面積は274万ムーを超え、シンガポールの面積の約2.5倍に相当する。2019年9月19日、「アント・フォレスト」は国連環境計画の「チャンピオン・オブ・ジ・アース(発想・行動部門)」を受賞し、まさにこれは5.5億ユーザーの暖かな取り組みの証と言える。
私たちが確かに守る長江
2021年1月1日より、中国最長の河川・長江(約6380キロ)で10年間の全面禁漁措置が始まった。このニュースは世界中の多くの人を驚かせ、同時に漁業大国の日本からも注目されている。約30万の漁師の生活はどうなるのか。長江は生物多様性の最も豊富な川の一つで、過去数十年間の急速な経済発展により、重い環境代価を払った。中国科学院の曹文宣さんは、「中国が長江を10年間禁漁するということは大きな決断だ。漁師たちの将来が苦しい現実に至ることも十分に考えた上で、中央と地方政府は漁師たちの配置をしっかりと行い、今後の生活を保障するべきだ」と示している。一方、世界経済フォーラムのために市場調査会社イプソスが世界28カ国を対象に行った「持続可能な漁業」に関する調査では、実際のところ中国人の意識は高いことがわかる。中国の回答者は乱獲を減らすには、「絶滅危惧種の捕獲をすべてやめる」が82%(全体平均77%)、「絶滅危惧種の販売やレストランでの提供をやめる」が82%(同77%)、「政府が乱獲、過剰生産、違法操業につながる漁業への補助金を禁止する」が79%(同73%)、「店やレストランが消費者に売る魚の絶滅危険度を知らせる」が71%(同71%)だった。禁漁の目的は、より良い魚をより長く捕るためだ。魚類を保護するだけではなく、長江の生態を修復し、地球の自然資源を保護する重要な措置を選んだ。長江は私たちを長年見守ってきた。今度は私達が長江を守っていく番である。十年間の禁漁には期間があるが、生態保護は永遠に続くことだ。
グリーンの発展を推進し、人と自然の調和と共に実現する道はこの先まだ長い。ごみの分類、温室効果ガスの削減、生態系の保護、気候変動の国際協力など私たちはどれも見捨ててはいけない。「澄んだ水と青い山こそが金山であり銀山である」という理念を打ち出し、環境にやさしい発展の道を優先させていく必要がある。生態文明の建設は、「任重くして道遠し」ではあるが走り続けていきたい。(CRI日本語部論説員)