北京
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2月1日午後、北京市大興区のとあるコミュニティ(都市部の基礎的な行政区画の単位、社区)の住民委員会が、新型コロナワクチンの大規模接種の予約開始をSNSの公式アカウントで知らせた。また、石景山区、通州区、懐柔区などのコミュニティでも同じような通知が出ている。北京では大規模なワクチン接種が秩序よく進められている。コロナ禍の“前線”における最大の功労者といえば医療従事者の名が挙がるが、その次に貢献したとされるのが各コミュニティのスタッフたちだ。中国では、都市部には各市政府と街道事務所、住民委員会があり、農村には各級郷鎮と村民委員会がある。こうした、全国に分布する無数の下部組織は、物資の配分、疫病学の調査、隔離の手配、困難な状態にある住民の援助などの面で大きなネットワークを作り、各地で感染を効果的に抑制している。
最初に都市のロックダウンを実施した武漢市では、住民たちの日常生活を保障し秩序立った診療を展開する上で、現地の住民委員会が無くてはならない役割を果たしていた。長江沿いにある武漢市江岸区の四唯街道六合コミュニティを例にとると、3498世帯1万人を超えるコミュニティの住民委員会のスタッフはわずか12人で、ロックダウン初期には全員が24時間体制で業務に取り組み、子供のいない高齢者の世話や、感染の疑いがある人々の調査や早期隔離などに務めた。武漢の感染拡大は短期間で封じ込められ、平常な生活が戻ったが、その陰には多くのコミュニティスタッフの努力があった。
感染封じ込めに成功した後も、コミュニティのスタッフの仕事は依然として多忙だ。感染の収束に伴って人員の流動が激しくなり、海外からの帰国者も大勢いる。これらの流動人員に対して各地はそれぞれに隔離政策を定めている。
例として、首都であり多くの人口を擁する北京市は、どこよりも厳格な感染予防・抑制に取り組んでいる。市政府の定めた隔離政策も厳しいもので、海外からの帰国者は入国地での隔離を完了させた上で、北京到着後に更なる自宅隔離と健康観察が求められる。この期間には、住民委員会の専門スタッフとのマッチングが行われる。隔離対象者とコミュニティの専門スタッフ、コミュニティの医師が3人一組となって、隔離対象者の体調を毎日確認し、必要に合わせて指導や補助を行う。隔離が終わった後、コミュニティのスタッフが直ちに関連部門に情報をフィードバックすることで、隔離対象だった者は速やかに「健康コード」を入手し、通常の生活にスムーズに戻れるようになっている。
1月9日、国家衛生健康委員会の曽益新副主任は、「新型コロナワクチンの大規模接種については各級の政府が組織し、費用の保障を手配することを求める。ワクチンのコストと接種費用を個人が負担することはない」と述べた。費用の負担もそうだが、14億の人口を持つ中国で全国民のワクチン接種を完遂することは、それ自体が困難な任務であり、その実現には住民委員会が依然として不可欠な力である。冒頭の住民委員会からの通知は、まさにこの仕事の始まりである。
今回の感染拡大の初期に、全国の無数のコミュニティの住民委員会や村民委員会で、感染対策の大きなネットワークが織り上げられた。それは、多くの住民を感染から保護するための重要な役割を果たした。感染防止の常態化する今日、身の回りでこれらの業務に黙々と従事する彼らは、この国に暮らすあらゆる人にとって、最も身近な頼りである。(CRI日本語部論説員)