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担当:王小燕、斉鵬
2月28日 CRI局ビル13階からの眺め
2月も最終日を迎えました。先週半ばから北京は最高気温が10度以上の日が続いています。土日、ダウンジャケットを着て外を歩いていたら夏のような暑さでした・・・(汗)。しかし朝晩はまだまだ氷点近くの気温で、油断すると風邪を引いてしまいそうです。気候の変わり目、毎朝どんな服装で出掛けるか悩むここ最近ですが、連日の青空で、なんだか幸せな気分です。
【イタズラ爺さん・奥田正彦さんのハンコ彫り】
1月にスタートした新コーナー「イタズラ爺さん・奥田正彦さんのハンコ彫り」。今月の奥田さんの印文は「弄春妍」(しゅんけんをろうす)。江戸時代の詩人・館柳湾の漢詩「正月五日独り東郊に歩す」の表現です。
【現代中国文学の散歩道~李敬澤「趙氏孤児」(4)】
これまでの放送では作家、文芸評論家の李敬澤(り・けいたく)の小説「趙氏孤児」の第1部「王妃の陳情」、第2部「二つの取るに足らないこと」、第3部「少年夷皋と熊の手」を紹介してきました。今回は第4部、「天意は高く問い難し」です。王小燕、星和明と斉鵬の朗読でお届けします。
このコーナーは中国文学の翻訳誌『新しい中国文学 灯火』雑誌社の後援により実現したものです。『灯火』は中国で最も権威のある文学雑誌『人民文学』の日本語版として、2015年12月に創刊。これまでに全3冊が刊行されています。初回からシリーズでご紹介している小説「趙氏孤児」は、去年3月に刊行した「特別版」に掲載された作品です。翻訳は水野衛子(みずの・えいこ)です。
★第4部「天意は高く問い難し」
初秋のある日、突然大きな星が天空を横切った。各国の人々は、星が重要な知らせを告げに来たと思い、天下のあらゆる知識の源泉とされる周王朝の太史台に答えを求めた。太史台の史官や院士らが討論した結果、「七年以内に宋、斉、晋の君主は全員政変で死ぬであろう」と宣告。そして七年後、晋の趙盾は冤罪を着せられていた。
★ちょっと難しい用語
杵臼(しょきゅう):宋の国の昭公(しょうこう)。
鮑(ほう):昭公の弟。
斉(せい)の懿公(いこう):斉の王の1人。
趙穿(ちょうせん):晋の大将。
董狐(とうこ):晋の太史。
『温故一九四二』:劉震雲原作の小説。「趙氏孤児」の作中では馮小剛(フォン・シャオガン)監督による同小説の映画化作品「一九四二」(2011年10月公開)を指す。
【背景】
★李敬澤について
1964年天津生まれ。 北京大学卒。中国作家協会副主席、中国で最も権威ある文芸雑誌『人民文学』の元編集長。著名な文芸評論家で、中国の作家たちの尊敬を集めるとともに畏怖される存在でもあります。
幅広いスタイルの作風の作家としての顔もあり、『検証千夜一夜――21世紀初の文学生活』、『文学のために申し開きをする』、『反遊記』、『小春秋』、『理想的な読者へ』などの著書があります。
★「趙氏孤児」について
司馬遷の『史記』にも出てくる史実をもとに、元代の劇作家・紀君祥が元曲として創作した中国の有名な悲劇の一つで、18世紀にはフランスの作家ヴォルテールによって翻案され、ヨーロッパで舞台化された最も古い中国の芝居でもあります。
中国でも繰り返し京劇などの伝統演劇や話劇の舞台、テレビドラマに取り上げられ演じられてきました。近年では、陳凱歌監督が映画化、日本語訳『運命の子』として、2011年に日本でも公開されています。
これら良く知られた「趙氏孤児」は、霊公殺害の冤罪で趙家が将軍・屠岸賈(とがんこ)によって、一家全滅の罪に問われた際、趙家に恩のある公孫杵臼(こうそんしょきゅう)や程嬰(ていえい)らによって助け出され趙盾(ちょうとん)の孫・趙武が一人生き延びる。やがて趙武が長じて一家のあだ討ちをするという復讐の物語です。
李敬澤のこの小説はその有名なストーリーのエピローグ、またはスピンオフともいえる内容になっています。霊公と趙盾との確執(かくしつ)に、中国の現代にも通じる諸問題を見出すという、単なる歴史小説を超えた語り口になっています。
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