北京
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12月13日は、中国で7回目となる南京大虐殺犠牲者国家追悼日である。83年前の江蘇省南京で旧日本侵略軍は40日余りの長い期間にわたり、世界を驚かす南京大虐殺を作り出し、30万人以上の中国人が無残に殺害された。
2014年、第12期全国人民代表大会常務委員会第7回会議で、12月13日を「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」に定める決議が採択された。国の名を挙げて犠牲者を追悼し記念することは、歴史の苦難を心に刻み込み、今日の平和を大切にする国民の信念を固めるためである。
91歳の夏淑琴さん
残念なことに、今年、登録された南京大虐殺の生存者が4人亡くなり、残りは73人となった。彼らの多くは生涯をかけて証言し続け、毎年の追悼式に参加している。91歳の夏淑琴さんは、南京大虐殺犠牲者同胞記念館に設置された「嘆きの壁(南京大虐殺犠牲者名碑)」に刻まれた家族の名前を撫でてお辞儀をした。夏さんは足が悪く、耳も遠くなったが、それでも毎年ここへ来て大虐殺で亡くなった家族を偲ぶ。「生きているうちに、日本政府からの正式な謝罪を待っている」と夏さんは語った。
大虐殺の生存者たちは年を取り、少なくなったものの、歴史の記憶は風化していない。むしろ中華民族全体の記憶となり、平和を守る強い意志となっている。今年、南京大虐殺犠牲者同胞記念館で、「南京大虐殺史実展」が行われた。62日間の展示期間中、2万550人以上の来館者が見学についての感想を寄せた。6歳の園児によるピンインで記された「shi jie he ping(世界平和)」のメッセージもあれば、退役軍人による「平和を守るなら、命を捧げても惜しまない」との言葉もある。記念館側の統計によると、感想記録に「平和を守る」「歴史を心に刻む」「国恥を忘れてはならない」「平和の勢力を拡大して平和を守る」などのフレーズが一番多かったという。
「祈願の壁」
さらに、今年の国家追悼日に合わせて南京の一部の地下鉄駅には「祈願の壁」が設置された。市民は自発的に平和と未来への願いを書き記している。そして、SNSのウェイボー(Weibo)では、「紫金草」のスタンプが一夜にしてネット上で流行した。南京郊外の紫金山に咲き誇るこの花は生命力が強く、戦後は平和への願いを込めて日本にも広まり、祈りの花、平和の花とみられている。
「紫金草」のスタンプ
コロナ禍の影響で、今年は多くの国際友人が追悼式の現場に来られなかったが、映像メッセージを通じて侵略戦争に反対し、人類の尊厳を守り、世界平和を擁護するよう呼びかけている。
南京大虐殺の記録映像(マギーフィルム)を残した米国聖公会牧師のジョン・ギレスピー・マギー氏の孫、クリス・マギーさんはこれまでに何回も南京を訪れ、祖父の映像に記録された人々を訪ねた。「祖父に記録された歴史を忘れてはならない。世の中の人々に歴史の真相を知ってもらう必要がある」と南京の物語を伝え続けていくとの考えを示した。
日本の社会運動家・映画監督の松岡環さんは、南京大虐殺の研究者として、日本の戦争犯罪を訴える活動を長年続けている。今年の初め頃、中国で感染情況が最も深刻なとき、松岡さんは南京大虐殺の生存者たちにマスクを送った。「もともとは12月5日に日本国内で300人規模の南京大虐殺の真相に関するドキュメンタリーを放映する予定だったが、日本国内での感染拡大により、一時中止になった。残念ながら、今年は南京の現場で追悼式に参加できなかったものの、いつかきっとまた会える日が来る」と松岡さんは語った。
世の中は常に変化するものだ。しかし、どんなに変わろうとも、平和と発展は依然として変わらぬ時代のテーマである。歴史を受け継ぎ、未来の道を開く。これは世の中の平和を愛するすべての人々の志だと信じている。(CRI日本語部論説員)