【観察眼】双循環経済の波に乗った中国ブランド 景気回復の支えになるか

2020-12-09 16:50  CRI

 税関総署が今年1月から11月までの輸出入データを発表した。注目なのは、輸出入総額と輸出額がいずれもプラス成長を遂げる中で、輸入がマイナス成長であったことだ。

 最大の原因は、やはりコロナ禍の影響であろう。中国では感染拡大の予防・抑止が順調に進み、多くの企業や組織が事業再開を果たしている。中国の製造業は国際市場への十分な供給を実現できているが、一方の海外ではロックダウンが続く国や正常な生産活動ができていない国も多く、中国からの発注に応えてもらえない場合も多い。

 この状況の緩和に一役買うとされているのが、習近平国家主席が提唱した「双循環」である。国内の大循環を主体としながらも、閉鎖的になることなく、国際的な大循環との相互促進を働きかけていくという、この新型発展モデルの構築が加速すれば、中国と世界との連携はより密接になり、やがて輸入もプラス成長を果たして輸出入総額とのバランスが取れるようになる……それが、業界の共通認識にもなっている。その早期実現のためにも、中国は自国の国内大循環を大きく回しながら、世界各国の新型コロナ対策を支持し、それぞれの大循環の発展を促していく。

 世界的に景気が後退する中で、成長の契機を掴んでいるのが中国の国産ブランドだ。中国の整った供給チェーンと産業チェーンはコロナ禍の影響を最小限に抑え、国産ブランドにチャンスをもたらした。また、国を挙げての感染対策が早期に成果を収めたことで、国産ブランドの競争力が高められた。“中国製造(メイド・イン・チャイナ)”はいま、「質の高い発展」のコンセプトの下で、かつての「ただ安いだけ」というイメージを一新させ、品質・デザイン共にトップレベルを目指している。近年はライブコマースの普及によって国産ブランドの知名度が向上しつつあったが、この動きは一時期の外出自粛によってさらに加速した。さらに、20代から30代までの若者の消費意識がさらに冷静かつ個性的になっており、コストパフォーマンスとデザイン重視で、その条件を満たした商品であればブランドにこだわらずに購入する傾向となっていることも、国産ブランドにとっての追い風だ。結果として、国産ブランドを利用することは、一つの新しい消費・生活スタイルになっている。

 主に10〜20代の若者に支持されている動画配信サイトbilibiliは今回初めて、「中国の若者によって作られた100の商品」を紹介するリストを発表した。これは、動画投稿者と視聴者の行動データや、30代以下のネットユーザーの消費動向などを分析して作成されたもの。「China-Z(Z世代:1995年から2010年までに生まれた世代)100」と名付けられたこのランキングには、老舗ブランドから新興ブランドまでの、様々な商品が含まれている。

 中国には「挑戦也是機遇(試練はチャンスでもある)」という言葉がある。今は国産ブランドにとってチャンスの時だ。国内大循環を支える国産ブランドが大いに発展することは、やがて双循環全体の力となり、世界経済の回復をも支えるだろう。その成長から、しばらくは目が離せなさそうだ。(CRI日本語部論説員)

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