北京
PM2.577
23/19
中国には、衣食住から交通、仕事まで、あらゆる場面に対応するスマホアプリが各種揃っている。ここ20年でインターネット技術はそれぞれの産業に深く溶け込み、特に直近10年の間にはデジタル化された新事業が次々と誕生した。
このほど浙江省の烏鎮で開かれた2020年世界インターネット大会・インターネット発展フォーラムでは、「中国インターネット発展報告2020」が発表された。それによると、2019年に中国のデジタル経済規模は35兆8000億元(約560兆円)に達し、GDPの36.2%を占めた。中国のデジタル経済の総量と成長速度は世界トップレベルとされている。
また、同時開催された2020年「インターネットの光」博覧会では、AIやクラウドコンピューティング、ビッグデータ、ブロックチェーン、5Gなどの分野における新技術、新成果、新製品などをめぐり、アリババ、バイドゥ、ファーウェイ、チャイナモバイル、日本のセイコーエプソン株式会社など130社の最新先端技術が展示された。アリババは世界トップレベルの第三世代クラウドサーバ「神龍(X-Dragon)」や、AIと自動運転技術が搭載された厳しい天候下でも動作可能な物流ロボット「小蛮驢」を、エプソンはARグラスを活用したリモートでの工業設備の修理指導や没入型映画鑑賞などを、そして、バイドゥはAI眼底検査複合機、チャイナモバイルは5G通信技術を用いたソーイングマシンを展示した。いずれも、インターネット技術と種々の産業との融合がさらに進んでいくことを実感させる展示であった。
コロナ禍を受けてオンライン技術の需要は高まり、ショッピングのみならず、医療、教育、娯楽、仕事など、様々な分野がリモートに対応するようになった。デジタル経済は、コロナ禍による影響の軽減、経済の回復、社会管理能力のレベルアップに重要な役割を果たしている。これをきっかけに、インターネット技術と種々の産業との融合の重要性が見直されているところだ。
世界インターネット発展フォーラムには、業界トップレベルの実業家からのビデオメッセージが寄せられた。クアルコムの最高経営責任者(CEO)であるスティーブン・モレンコフ氏は「5Gによってインターネットはより多くの人々と企業に利益をもたらすようになり、人々の生活を更に豊かにする」と示し、シスコのCEOであるチャック・ロビンス氏は「中国は新技術の開発と採用を積極的に進め、幅広い分野でイノベーションが行われている国である。世界経済の回復と再構築に伴い、インターネット技術は今以上に重要な役割を果たしていくだろう」と指摘した。
現在、中国ではインターネット技術が消費分野の枠を越えて、農業や工業などの産業との融合がさらに進んでいる。外国企業からの投資や技術協力についても期待されている。深いレベルまで改革開放が進められている、「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」が調印された中で、種々のプラス要素の相乗効果によって、中国のデジタル経済は引き続き急成長し、すべての産業や業種のスマート化をさらに促していき、驚くほどの新商品、新サービスが次々と生まれてくることが期待されている。(CRI日本語部論説員)