北京
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東方明珠テレビタワー、上海万博会場、上海ディズニーランド、高さ632メートルで中国一・世界二番目の高いビル「上海タワー」……「魔都」こと上海のランドマークが次々と黄浦江東岸の浦東新区で誕生している。開発開放発足30年来、この町は魔法を施されたかのように、荒地から中国の金融・貿易・国際物流・ハイテクのセンターエリアに成長し、数々の奇跡を作ってきた。しかし、地元住民にとって、一番誇らしい変化はやはり日常の暮らしのようだ。
上海で面積が最も広く、人口が最も多い区として、浦東新区では開発開放の全過程で、地元住民の生活改善と福祉増進が重要な目標とされている。「家門口(身近な)」サービスシステムの構築はその一つである。浦東全域で、コミュニティ(社区)や村を単位に1310ヵ所以上の「家門口」サービスセンターが設置され、周りの住民に医療、家事代行、高齢者介護、法律支援、読書会、スポーツ・文化教室など212項目以上のサービスを提供している。また、各住宅団地を中心に、徒歩15分以内のエリアにバス停、駐車場&駐輪場、コンビニ、銀行、学校、クリニック、運動場、公衆トイレ、市民センター、市民公園などの公共施設が整い、便利で質の高い「15分間生活圏」が出来ている。
30年前、浦東で基準に満ちた小中学校はわずか7校しかなかったが、今は670校になった。また、浦東で公立三級病院(中国で最高ランクの総合病院)は1ヵ所もなかったが、今は11ヵ所に増え、1256ヵ所のコミュニティクリニックが新設された。30年前、黄浦江の東岸は工業地帯で住環境は劣悪だったが、今では、河沿いに延びる全長22キロの遊歩道で、野鳥のさえずりを聞きながら、季節の花を楽しめる。しかも、昔の工場跡地は改築されて22カ所の沿岸休憩所に生まれ変わっている。ギャラリーやアトリエなどの洒落た芸術空間のほか、親子で楽しむ探険パーク、ハイテク体験エリアも勢揃い。そのうち、上海国際金融センターの中心地である陸家嘴の最寄りの第4号沿岸休憩所は中国国際輸入博覧会の出展商品体験館として活用され、永遠に幕を下ろさない輸入博とも呼ばれている。
30年前、上海住民には「浦東の一部屋より浦西のベッド一つのほうがましだ」との言い方があったが、今は歴史のジョークとして口にされている。かつて「生活の泥沼」「文化の砂漠」と言われた浦東だが、今は「家門口」の快適な生活サービスに恵まれながら、最先端のライフスタイルを楽しめる。30年は瞬く間に過ぎてしまったが、未来の城として、浦東新区の物語はまだまだつづく。(CRI日本語部論説員)