北京
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中国北西部の寧夏ホイ族自治区にある賀蘭山、その東部山麓は長い日照時間、少ない降水量、ミネラル豊富で通気性の高い土壌という特徴から、高品質のワインの生産に適している。ここ10年のうちに、地元のワイナリーが出品するワインはデキャンター・ワールド・ワイン・アワードやブリュッセル国際ワインコンクールなどの国際的なイベントで、各部門の金賞だけでも1000回以上受賞し、その品質は世界に認められている。
賀蘭山東麓がワインづくりの新勢力として急速に頭角を現した要因は、先に述べた「地の利」の他に、「天の時」と「人の和」がある。中国ではここ20年ほどで「ワインは健康に良い」という認識が浸透し、全国的なワインブームとなっている。国内のワイン消費者は4億人いるとされ、世界で5番目に大きいワイン消費大国にまでなった。この「天の時」とも言えるチャンスを掴むべく、寧夏ホイ族自治区政府は特色ある農業を発展させるという国の発展計画に沿って、ワイン産業を地元の基幹産業にするという戦略的決定を下した。ワイナリーの誘致とともに、ブドウ栽培とワイン産業の支援策を打ち出し、ブドウ畑のための灌漑施設や交通などのインフラを整備して、土地の利用やブドウ苗木の指定、購入などに関する優遇政策を実施することで、現地のワイン産業の発展をサポートしてきた。こうしたハードとソフト両面の生産環境に魅力を感じて、先見の明を持つ投資家や経営者、さらには国内外の醸造家や技術者などの優秀な人材が寧夏に集まるようになった。各要因のシナジーにより、ワイン産業は目を見張る発展を遂げ、雇用機会を創出した。それは少数民族が集中するこの地域の経済発展と社会の安定にも大きな役割を果たしている。
来年から実施される第14次五カ年計画には、郷村振興(村おこし)やグリーンな開発、国民生活の質の改善などの内容が盛り込まれる見込みだ。ワイン産業の関係者たちは、ワインと現地の風土・文化・芸術の関係性を深く掘り下げ、5G通信、ビックデータ、モノのインターネット、クラウドコンピューティング、人工知能などの最先端技術を利用して、近代的なワイナリーを構築するとともに、観光業、スポーツ、ヘルスケア、教育などの業種との連携を試みるなどしてワイン産業の新しい成長方法を探っている。このようなトレンドは、中国のワインづくりの新勢力の代表として、新しいビジネスモデルを、ひいては発展の道をも切り開いていく可能性を秘めている。(CRI日本語部論説員)