北京
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中国共産党の重要な会議・第19期中央委員会第5回総会(5中総会)は29日、今後5年間の経済・社会政策を方向づける新五カ年計画と2035年までの長期目標の基本方針を採択し、閉幕した。5中総会の焦点は、2021-25年の社会・経済計画を示す5カ年計画。新・五カ年計画では「双循環」が新しい経済発展モデルを示すキーワードとして注目されるようになった。
習近平国家主席が5月に発表した双循環モデルの柱は、国内で生産、分配、消費を循環させる「内需大循環」だ。貿易や資本、投資を対外開放して世界経済との一体化を進める「国際大循環」が、これを補助する形となる。その目的はサプライチェーンの強靭化、消費の拡大、輸出の促進と考えられる。
貿易保護主義の台頭や新型コロナウイルスの感染拡大でグローバル・サプライチェーンにおける脱中国の動きが出始めており、中国を取り巻く環境が変化している。そうした外部環境の急変に備え、中国政府はサプライチェーンの強靭化に取り組む必要がある。
また、中国は長期にわたる持続的な経済発展を実現するうえで、投資主導型経済から消費主導型経済へ転換することが不可欠である。中国の一人当たりのGDPは約1万ドルで、所得に大きな伸びしろがある。最終消費の対GDP比率が2019年時点で55%、個人消費が39%にとどまり、国際比較の点から見れば消費比率の引き上げ余地も大きい。今後、消費拡大の内実は「新型消費」だ。9月9日の国務院常務会議で新型消費の刺激措置が決定し、9月21日に政策意見が公表された。注力分野として、教育や診療などのオンラインサービス、文化、娯楽、観光、スポーツなどの分野におけるオンラインとオフラインの融合、インターネットを介したデリバリー、配車、宅配、民泊などの業態、スマートリテールなどが挙げられた。5Gネットワークやデータセンター、モノのインターネットなどのインフラ建設も加速させる方針だ。
中国は14億人の人口を抱えるなど、潜在的な市場規模は大きい。しかしながら、先進国の優れた技術や人材、新興国の大きな潜在的な市場を無視してはならない。長期にわたって経済成長を遂げていくには、国内に籠るのではなく、人的な交流、貿易、投資を世界と交わしていくことが必要である。そのため、「双循環」は輸出・投資・消費がバランスよく経済成長をけん引する発展モデルとして、実施されていくことになる。(CRI日本語部論説員)