北京
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中国の食料供給を心配する声が多い。コロナ禍に洪水被害などが懸念材料とされている。だが実際のところ、中国の食料生産は強(したた)かだ。
まず、6月に発表された「中国農産業発展報告2020」(中国農業科学院)によると、中国の食料生産は5年連続で6.5憶トンを超え、2020年は6.7億トンに達する見込みだ。一人あたり食料占有量も世界平均を上回る470キロを保っている。
次に、国家統計局の発表では、今年の夏の収穫量は1.4万トン超で、前年比120.8万トン増を実現するなど豊作であった。国家食料物資備蓄局が「備蓄小麦の買付け量は8月5日現在、対前年比938.3万トン減の4285.7万トン」と発表したことが物議をかもしたが、よくよく掘り下げれば、買取価格に伸びしろがあるとの判断から売り惜しみをしたことが主な理由だ。
そして洪水の影響だが、国家統計局が8月19日に発表した2020年の早稲収穫量によると、昨年までの7年連続減少に歯止めがかかり、対前年比3.9%増の2729万トンとなった。単位面積の収穫量は減ったが、作付け面積の拡大で増産が実現した。総合的に見て、今年の中国の食料生産は安定確実とされている。
中国は2013年に「穀物の基本的な自給とイネ・小麦の絶対安全」という明確な目標を掲げ、その達成を死守し続けている。大豆を中心に輸入が増え続けている面もあるが、イネや小麦の輸入はニーズの多様性に応えるものであり、生産不足によるものではない。例えば強力粉などの輸入増はホームベーカリーの普及による。事実、2019年の穀物自給率は98.2%と手堅い。
「中国の食料供給は中長期的にはギリギリのバランスが続く」との指摘もある一方で、中国では食べ残しなどで浪費される食料が年間3500万トンにも上り、生産総量の6割を占めるという事実がある。こうした中での国家主席による「飲食の浪費行為の断固阻止」との呼びかけは、中長期的な視野で食料安全を確保する中国の決意と、世界の食料安全を守る大国としての責任を表している。(CRI日本語部論説員)