北京
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寧夏ホイ族自治区中衛市中寧県紅宝村には、村民80人からなる合唱団があります。彼らは貧しい生活から抜け出すことに成功し、新しい生活と故郷への思いを歌っています。
紅宝村は1990年代にできた移民のための村です。貧困脱却のための移転政策によって、寧夏ホイ族自治区南部の山岳地帯の人々がここに移り住みました。勤勉な村人たちは、新天地での豊かな生活を、自らの手で作り上げてきました。生活の質が高まると、次に人々は文化を求めます。中寧県政府は村民のニーズを汲み取り、2019年4月に村の合唱団を設立しました。
合唱団のメンバーの一人、52歳の荆懐勤さんです。
「コーラスができると聞いて、すぐに申し込みました。音楽が好きだからです。でも、はじめは口を開けることすらできませんでした。私たち女性は、普段は畑仕事ばかりしていて、あまり字が読めない人も多いのです。みんな恥ずかしくて口を開けられませんでした。でも、だんだんと夢中になって、どんなに畑仕事が忙しくても練習をサボることはしませんでした。昼間は働いて、夜には1日も欠かさずに電気自動車でコーラスの練習に通っています。1、2時間も歌えば、昼間の疲れだってふっ飛びますよ」
そうして、歌うことの楽しさを知った荆懐勤さんは、自身の年下の従姉妹を合唱団に誘いました。49歳の楊継紅さんです。
「最初は歌うどころか、読めない歌詞もありました。娘に教えてもらって、録音してもらって、歩いている時も、農作業をする時も、一生懸命に歌詞を覚えました。はじめは歌詞が夢にまで出てきて、よく眠れないほどでした。大変でしたが、好きだから、頑張ることができています。」
いま、合唱団のメンバーは80人ほど、平均年齢は40歳を超えています。皆さん、毎日、昼間は畑仕事に汗を流し、夜8時から2時間ほどコーラスの練習を行っています。
合唱団の最年長メンバー、67歳の敖志立さんの言葉です。
「暮らしに余裕ができれば、精神的な充足がほしくなります。私たちが合唱団で歌うことによって、ご近所や周りの人たちにもプラスのエネルギー、良い影響があるはずです。私たちは、自治区南部の干ばつが頻発する地域からここに引っ越してきました。自分の手で生活を切り開いて、ようやく実りの時期を迎えています。」
「小康社会に向かう中国人の暮らし」今回は寧夏ホイ族自治区中衛市中寧県紅宝村の村民合唱団についてお伝えしました。お相手は王秀閣でした。ではまた来週。さよなら。