北京
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平江路昆曲博物館で上演される昆曲
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、王秀閣がお届けしてまいります。
さて、中国の人々にとって、「小康」生活とはどんなものなのでしょうか。上海市に近い江蘇省蘇州市で、様々な年齢層に聞いてみました。
蘇州の平江路エリアは、地元の文化を味わい、歴史を知ることができるスポットとして親しまれています。川沿いの道を歩いていると、地方劇である「昆曲」の音色が聞こえてきます。どうやら昆曲博物館から聞こえてくるようです。この博物館は観光客からだけでなく、昆曲を愛する地元の人々からも人気です。41歳の周さんも、ここに足繁く通う1人です。“生活に余裕が出てくると、こんどは精神的に満たしてくれるものがほしくなりました。何よりも文化ですね”
20代の李さんが初めて「小康」という言葉を耳にした時、イメージしたのは単に「食べものに困らない状態」だったそうです。でも今では、この言葉の中にもっと深い意味合いが含まれていると感じています。“衣食住の保障はもちろんですが、それだけに留まらず、精神的な充足も必要なのですね。蘇州には文化や芸術を愛する人が多いので、書店に通ったり、平江路で写生したりする人も多いです”
文化の香りが漂う蘇州の町。では、田舎のほうはどうでしょうか。蘇州市南部の南豊鎮永聯村へ来てみました。ここは、かつては人口が少なく経済が立ち遅れていましたが、改革開放政策が実施されてから、鉄鋼産業が興され、現在は人口も増えて、蘇州南部の最も経済力のある村となりました。
永聯村の児童活動センター
ほかの村人とおしゃべりをしていた75歳の張志明さんです。“昔は農機の工場で働いていたんだ。きつかったよ。お腹いっぱい食べられることはないし、住まいはぼろ家(ぼろや)。それが、今では働く必要もないし、衣食住に不自由もない。夢にも思わなかった状態さ”張さんは年金のほかに、村から毎月900元の生活費を支給されていて、とても満足しているようです。
永聯村には大きな議事ホールがあって、村の大小様々な決定は、ここで260名の村民の議論によって決められます。ホールには最新の設備があるので、村にいなくてもテレビ会議の形で議論に参加することができます。
永聯村の議事ホール
村で 社会福祉を担当する陸衛紅さんの声です。“政府やコミュニティが、文化の充実やモラルの向上に非常に力を入れてくれました。村には24時間利用できる図書館があって、運動器具や文化施設も整備されています。夜は広場でダンスを楽しめますし、劇もよく上演されます。本当に楽しいです”
「小康社会に向かう中国人の暮らし」、中国に暮らす人々にとっての「小康」生活について、蘇州で聞いた人々の声をお届けしました。お相手は王秀閣でした。ではまた来週。さよなら。