北京
PM2.577
23/19
先日公表した新型コロナウイルスへの対応をまとめた白書が好評を受ける中、海外から「情報隠し否定」、「勝利宣言」、「政権の取り組み自賛」といった声が聞こえてきた。これは、事実に基づいた評価なのだろうか。
この数百年間で、人類が遭遇した最大規模の感染症。当初、中国を含む人々にとってこの病気の病原性や潜伏期間、感染経路、感染力、免疫力などについてはほとんど未知だった。今になっても、科学者の新型コロナウイルスに対する理解はまだまだ不十分だと言える。そのため、中国の初動対応に問題があり、発見された新型コロナウイルスを隠蔽しようとしているという見解や、中国に対する推定有罪などの言論と指摘は科学法則に背くだけではなく、常習的な偏見だと言っても過言ではないだろう。
白書に記録されている中国の苦い経験は日本を含め、世界各国にとって貴重な先行事例と言える。例えば新型コロナの感染力は極めて強く、対応措置を講じなければ 「医療崩壊」に陥る恐れがある。これを教訓に、爆発的感染に見舞われた欧米諸国では、「医療崩壊」を防ぐには人と人との接触機会を大幅に削減する必要があるとの現状認識の下、「外出制限」措置を発動し、日本でも4月7日に緊急事態宣言を発令することとなった。
また中国では、新型コロナが長期にわたって繰り返し襲いかかる事態を想定すれば、テレワーク、オンライン授業など「非接触型経済」が今後の経済発展のカギを握ると見て、経済活動を再開するに当たり通行許可証として健康コードを考案したが、日本を含む各国にとっても参考になる取り組みとなった。
したがって、白書の発表は「勝利宣言」や「政権の取り組み自賛」ではなく、コロナ禍の記録を後世に伝える責務を果たしたと言える。コロナは我々の生活に大きな変化をもたらし、こうした出来事の記録は、コロナ禍での社会の様子を次世代に伝える上で意義がとても大きい。また、今からアフターコロナを見据え、いかに新たな時代に立ち向かうかについても、考えさせるいいタイミングになるだろう。(日本語部論説員)