【観察眼】非常時の「両会議」は、なぜ「特別」?

2020-05-19 17:17  CRI

 風薫る5月の北京。世界からの脚光を浴びている。

 新型コロナの沈静化により、中国の「両会議」こと、全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)がいよいよ22日と21日にそれぞれ開幕する。年に一度開催される「両会議」は、中国の国家戦略や経済社会の発展に関わる諸事業を画策する重要な場として、通常は3月上旬に開かれるが、今年は新型コロナの影響で見送られ、改革開放40年来初の延期開催となった。

 非常時の「両会議」ではどのような特別な点があるのだろうか。

 まずは、新型コロナの予防・抑制の関連措置についてだ。中国国内では新型コロナの感染情勢が終息に向かいつつあるものの、リバウンドや二次拡散を防ぐため、会場の現場や各代表団の宿泊施設では、関連の予防・抑制措置が徹底されている。例えば、入り口のセキュリティ検査に体温測定が加えられ、防疫スタッフも待機している。食堂では、各テーブルに椅子は一つしか置かず、一人の食事は例年と違う特別な風景になる。また、5月1日から、北京市では生活ゴミの新しい分類条例が施行された。各代表と委員に配布される資料には「北京市生活ゴミ分類」というガイドブックが挟まれている。

 2020年は特別な一年である。新型コロナの世界的大流行はもちろんのこと、今年は中国の第13次五カ年計画の最後の年、貧困脱却の堅塁攻略戦の決勝の年、小康社会(いくらかゆとりのある社会)の全面実現における一里塚でもある。これらの目標を予定通りに実現できるかどうかは、中国人の生活と福祉に関わるものであり、人類の持続可能な開発にもつながる。

 ところで、新型コロナの影響で、今年の第1四半期の国内総生産(GDP)は前年同期比6.8%減となり、1992年以来の四半期報告としては初のマイナス成長となった。世界経済のエンジンと言われる中国経済の見通しはどうなっていくのか。世界からの注目を集めている。

 さらに、今年の全人代では「民法典修正案」が審議される。「市民社会の基本法」として、新中国成立70年来、初めて「典」と命名したこの法律には、社会各界からの関心が寄せられている。修正案草案が昨年に一般公開され、社会からの意見聴取を行った。これにはわずか5日間で3万件以上の意見が殺到した。高所からの物体の投下による危険の防止や民間の借金行為などに関する内容が盛り込まれ、「社会生活の百科全書」となりそうだ。

 最後に、全人代の恒例行事として、李克強総理は「政府活動報告」を行う。過去1年間の政府活動を取りまとめ、今後1年間の経済社会の発展、国民生活の改善、国際協力の推進について全国民ないし世界に対する約束を行う。

 複雑な変化や新型コロナの蔓延に加えて、昨今の世界情勢は未曾有の変化と不確定要素に直面している。多くの試練と挑戦に晒される中、いかに「危機」を「契機」に転換させ、中国の知見と中国人民の自信を世界に向けて発信するのか。初夏の訪れを感じさせる北京の街で、今年の「両会議」から目が離せない。(CR日本語部論説員)

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