北京
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4月6日 CRI社食の外に咲く海棠の花(撮影:燕)
案内:王小燕、斉鵬
日本では、7日夕方に東京など7都府県を対象にした「緊急事態宣言」の発令で、新型コロナウイルスとの戦いに一層緊張感が高まってきたようです。対象地域にお住まいの皆様は、不便を強いられる場面が増えるかと思いますが、どうか、くじけずに、今は我慢と外出の控えで乗り越えましょう。何よりも、一人でも多くの人を感染から守ることこそが、今の日本と世界に一番必要なことだからです。一方、世界で最も早くから新型コロナウイルスと戦ってきた武漢では、約2か月半の都市封鎖措置が8日から解除されます。力強い封じ込め対策を講じれば、感染症は抑制できることが実証されています。
シリーズ企画「新型コロナウイルスとの戦い」の10回目となる今日の番組は、まず火曜ハイウェイ宛てに最近届いたお便りを紹介します。続いては、「コロナウイルスと戦う最前線」で武漢や中国国内の最新の予防・抑制対策をご紹介します。後半の「新型コロナとの戦いでつながれた中日の絆」では、先週に引き続いて「マスク」にフォーカスします。日本の中国語会議通訳の草分けである神崎多實子さんが純文学の同人誌『越後文学』に特別寄稿したエッセー、「天国からのプレゼント―マスク」の紹介に続いて、神崎さんのインタビューをお届けします。
<新型コロナウイルスとの戦い>
無症状感染者数、1日から毎日公表へ
国家衛生健康委員会は4月1日から、新型コロナウイルスの無症状感染者の人数を毎日公表するようになっています。
無症状感染者とは、咳、発熱、喉の痛みなどの症状はないものの、ウイルス検査で陽性反応を示した人を指します。無症状感染者にも感染力があることが指摘されています。感染症の予防・抑制には、無症状感染者の発見と隔離にとって重要なことだと見なされています。
3月31日―4月5日まで、中国大陸の無症状感染者は累計で434人となりました。そのうち、29人が発症したため治療を受けています。また、899人が隔離観察から解除されましたが、現在も隔離観察を受けている無症状感染者は1047人。このうちの980人が湖北省にいるということです。
清明節の4月4日に国を挙げての追悼式
今年は4月4日が中国では、清明節です。古くから、この日にお墓参りをして、亡くなった人を偲ぶ習わしがあります。今年の4月4日、中国は国の主催で、新型コロナウイルスとの戦いに命をささげた烈士や新型肺炎に患って逝去した人たちを追悼する式典を全国で行いました。国内の政府機関や企業、海外の駐在機関などで弔意を表す半旗が掲げられました。4日午前10時から全国各地で、追悼の意を表するために、防空警報のサイレンが一斉に鳴らされ、全国民が3分間の黙とうを捧げました。
武漢の都市封鎖、いよいよ4月8日に解除へ
4月8日午前零時から、湖北省武漢市では鉄道や航空便などの交通網が全面的に回復する予定。これにより、武漢市から市外への交通規制が解除されます。1月23日の都市機能の封鎖開始から、約2カ月半ぶりのこととなります。
これに先立ち、武漢市の主要なスーパーやショッピングモールは少しずつ通常営業を再開。ただ、映画館や書店、バー、ジムなどの施設の利用、店内での飲食などはまだ禁止されています。
なお、封鎖が解かれた後も、武漢市は引き続き市民に気を緩めずに、不要不急の外出をなるべく控え、外出時にマスクを着用するよう求めています。写真は乗車客にマスクの着用、利用車両専用のQRコードの読み取りなどを勧める武漢市地下鉄の様子。
中国は感染の予防抑制対策を維持
国家衛生健康委員会は5日の記者会見で、「海外で感染拡大が続いていることから、帰国者を受け入れる都市での予防・抑制、検査・治療などに依然として大きなプレッシャーがかかっている。今後も対策の程度を維持し、入国における検疫や対象者の搬送、経過観察、社区(コミュニティ)での予防・抑制などで万全を期するべきだ」と指摘しました。
<新型コロナとの戦いでつながれた中日の絆>
新型コロナウイルスの世界での感染拡大が背景で、感染予防に効果的な物資とされるマスクが、今、人々の思いやりを国境を越えて伝えるメッセンジャーになっています。先週に引き続き「マスク」に関するトピックスです。
今回のゲストは日本の中国語会議通訳の草分けで、1955年から中国語通訳として両国の民間交流に数多く携わって来られた神崎多實子さんです。この3月以降、神崎さんの手元に中国の友人から続々とマスクが送られてきました。その数は3000枚余りにも達しました。
神崎さんは1935年東京都生まれ。幼年期に家族と共に中国に渡り、1953年に帰国しました。都立大学付属高校(現桜修館)を卒業した後、北京人民画報社、銀行勤務などを経て、フリーの通訳者になられました。現在もNHK BSの放送通訳として現役で活躍されています。神崎さんには2015年にも、このスタジオにお越しいただいたことがあります。
今日のこのコーナーではまず、神崎さんが3月28日に執筆したエッセー、「天国からのプレゼント マスク」をご紹介します。このエッセーは、新潟県三条市で編纂、発行されている純文学の同人誌『越後文学』に、神崎さんが寄せた特別寄稿です。『越後文学』編集長の梅田純子さんの許可を頂いて、番組で紹介いたします。
『越後文学』は1940年に創刊され、日本の同人誌として最も長い、80年の歴史を持っています。現在は年4回発行されており、2019年には新潟出版文化賞を受賞しています。
「天国からのプレゼント マスク」は神崎さんご自身の体験であり、中国と日本の人々が長いお付き合いの中で築かれた深い友情の一部でもあります。
日本から中国へ、あるいは中国から日本へ送られてきたたくさんのマスクや支援物資は、どのような思いで送られ、送り返されているのか、それを知る上でのとても良い視点を提供してくれました。
なお、来週のこのコーナーでは、神崎さんにマスクを送った中国の友人のインタビューをお送りする予定です。
<最近届いたお便りの抜粋>
★愛知県岩倉市・杁本直正さん
<第16回中国の放送局から収集した切り紙展>好評開催中
会期:4月1日~30日まで(月曜日は休館日)
会場:愛知県一宮市木曽川資料館
展示会場の様子(写真提供:杁本直正)
2020年4月3日付「中日新聞」の関連報道
4月2日にCRI日本語部の皆さんの手紙が届きました、色紙、しおり、掛け軸、56民族の絵葉書等展示してきました。
稲沢市の河村さんという83歳の方が新聞を見て来場されました。話に夢中になり、切り紙を渡し忘れ、写真を撮ることも忘れてしまいました。良くこれだけ集め、一人で展示したことに驚いておられました。
★東京都大田区・三輪徳尋さん
善意の尊い気持ちを受け止め、不具合のある支援物資があったにせよ「投桃報李」の考えをもって支援物資を惜しみなく提供し、老子の言うところの「大小多少、報怨以徳」で示す高い理想によって、旧怨にこだわること無く多くの国へ官民を問わず、物的、人的な支援をしている中国の行動は素晴らしいことだと思います。
新型肺炎についてはまだまだ未解明な部分も多々あって、様々な支援物資が本当に相手が求めていたものと違うこともあったのかもしれないし、誤用を防ぐだけのドキュメントも不足していたのかもしれない。相手から感謝されるかなど問題ではない、見返りを求めない善意の行いで、本当に相手を思いやる「人類運命共同体の理念」を示していると感じました。
★愛知県名古屋市・ゲンさん
日本国内の中国関連のニュースにあがっていた、スロバキア、フィリピン、オランダなどから、中国からの支援物資や中国から購入した感染対策物資の品質に関してクレームが上がった問題を、いち早く真正面から取り上げた放送で、疑問が解けてすっきりした気分になりました。いずれにしても、中国商務部が医療物資の輸出で品質問題が摘発された場合、法に基づいて処罰を行い、容認しないという表明は頼もしいですね。
北京の谷岡さんが、今度は日本にマスクなどを送る活動をされていると知り、ビックリ。まあ、なんと忙しいこと!! ご家族には感謝はもちろん、協力してくださっている中国の市民の皆さんにも感謝でいっぱいです。実際、私の周りの医療や老人施設でも「あと何日分しかない……」などと、本当にマスクがなくて心配しています。先が見通せないというのが、辛いところですね。
谷岡さんの「一生の思い出になる」と言う言葉が、前向きでとても暖かく感じました。
★高知県四万十市右山五月町・杉村和男さん
新型コロナウイルスの感染者は今日4月5日、東京で143人、高知県で7人、愛媛県で1人と、増加の一途を辿っております。東京では2週続けて週末の外出自粛要請が出されているものの、渋谷の映像を見る限り、減ったとはいえ、高知より、はるかに多くの人が出歩いています。まだまだウイルスに対して真剣で無い人が多く、規制が緩いと感じます。
高知県の感染者7人のうち、一人は宿毛市平田町(すくもし ひらたちょう)にある、介護老人保健施設の職員です。宿毛市平田町は、四万十市から、西へ15キロしか離れていません。目と鼻の先です。愛媛県の感染者は、その宿毛市のお隣、愛媛県愛南町(あいなんちょう)にお住まいの方だそうで、四万十市から、西へ45キロの距離です。宿毛市と愛南町は感染者が次々に出ており、今、この方面に行くことは控えています。同時に、よく出かけていた所でもあり、お住まいの方々は非常に不安だろうと、お気の毒に絶えない気持ちです。
写真は4日、愛媛県宇和島市三間町(うわじまし みまちょう)で撮影した、道路沿い花壇のチューリップです。通りがかった時、ちょうど地元の方と子供(お孫さん?)が手入れをされていました。コロナウイルスで皆、疲弊している中、大変微笑ましい光景でした。左手に見える土手は、松山自動車道(高速道路)です。遠くに桜も見えますね。正面の山は、歯長峠(はながとうげ)と言い、これを越えると、愛媛県西予市宇和町下川(せいよし うわちょう ひとうがわ)になります。
4月4日、愛媛県西予市宇和町明間(せいよし うわちょう あかんま)で撮影した桜です。 感染者が出ていないとは言え、この非常時に有って、桜の下で宴会をしている人が居たのは、大変気になりました。油断、禁物です。 因みに私が撮影しているのは全て、橋の上からです。つまり、人が集まらない所を選んでいます。
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