北京
PM2.577
23/19
1時間目 「CRI時事解説」下心ある米政治家、「宗教の自由」語る資格なし&ゴミ分別の替え歌&郵便番号に代わる住所IDを開発
担当:王小燕、斉鵬
日本のアニメ制作会社・京都アニメーションのスタジオで18日、放火事件が発生し、多くの死傷者が出たことに心よりお見舞い申し上げます。中国でも、ネット上では「アニメ史上最も暗黒な日だった」「心が痛む」「言葉を失った」などと悲しむ声が上がっています。亡くなられた方のご冥福と負傷者の早期回復をお祈りしています。
さて、今週の番組はまず、「CRI時事解説」で、「下心ある米政治家、『宗教の自由』語る資格なし」と題するCRI論説員の文章を抜粋してご紹介します。続いて、お便り紹介を挟んで、「旬な話題」は2本立てでお送りします。一つは最近、ゴミ分別関連の替え歌が話題になっていること、もう一つは、中国が郵便番号に代わる住所IDを開発していることについてです。
2時間目 横浜から北京へ 留学して学んだこと~中村高寛監督に聞く(上)
特別ゲスト:王衆一(映画研究家、『人民中国』編集長)
聞き手:王小燕
(左)中村高寛監督(右)王衆一さん
今回は作品の上映交流会で北京を訪れたドキュメンタリー映画監督の中村高寛さんにお話を伺います。
去年の夏、中村監督はその前年に日本で公開された映画第二作「禅と骨」の上映交流会で北京を訪れました。
前作「ヨコハマメリー」では、「メリー」という女性にまつわる都市伝説にフォーカスすることで、生まれ故郷、横浜の戦後史に迫っていました。これに対して、「禅と骨」ではアメリカ人の父と日本人の母との間に横浜で生まれ育ったヘンリ・ミトワさん( 1918〜2012)の生涯を追っていました。
(左)「ヨコハマメリー」ポスター(右)北京の上映交流会会場外に貼られた「禅と骨」のポスター
ヘンリ・ミトワは1940年に父親を探しに米国にわたり、太平洋戦争の勃発で米国の日本人収容所に入れられ、戦後、家族を連れて日本に再び帰国し、晩年は京都・天龍寺の禅僧として過ごしていました。しかし、そんなミトワは80歳を目前に、突然、童謡「赤い靴」の映画化という夢を持つようになります。家族にもしっかり理解してもらえなかった夢ですが、ミトワはその実現のために生涯をかけて奔走を始めました。この映画の夢にはミトワのどのような思いがこめられているのか。ミトワの波乱万丈の人生には、どのような日米交流の歴史が映し出されているのか。心の葛藤だけではなく、生々しいぶつかり合いの場面も含めて、中村監督はカメラで記録しました。
ところで、この日、映画交流会に出席した中村監督は流暢な中国語を使って挨拶をしました。中国で開かれた国際ドキュメンタリー映画祭などからも良くゲストとして招かれる中村監督ですが、実は北京電影学院で2年間留学したことがあります。
映画との出会いは十代のとき。「友達がいなくて、映画ばかり見ていた」という「寂しい、悲しい」思い出を笑いながら振り返りました。そして、映画を仕事にしたのは、「映画ばかり見て人生が過ごせたらどんなに良いかと思っていたが、社会人にならざるをえない時が来てしまった。その時、もう映画という選択肢しかなかった」と苦笑いしていました。
第五世代監督の代表作(左)紅高梁(張芸謀監督)(右)黄土地(陳凱歌監督)
しかし、少年時代「知らない人たちが映画館に集まって、同じ映画を見て同じところで笑ったりすると、不思議な一体感が味わえた」体験は、今も自分が映画を作る際に再現したいと思っているそうです。
ところで、日本の映画撮影所で助監督を経て、自分でも作品を作ってみたいという自我が芽生えたときに、若き中村さんは大きな悩みを抱えるようになりました。その悩みとは、「では、自分はいったい何を作ればよいか」ということでした。その時に、彼が行動に出たのは、24時間仕事に没頭していたそれまでの生活に別れを告げ、もう一度学生に戻ることでした。向かった先は、中国の第五世代監督を数多く育てた北京電影学院でした。少年時代、映画をエンタメとしてしか見ていなかった自分が中国映画祭で、第五世代監督の作品に触れ、「映画は、ここまで自分の思想を表現することができるものなのだ」と、強いインパクトを受けたためだと言います。
ところで、20世紀から21世紀へ変わろうとする中国の首都北京では、ドキュメンタリー映画はまだまだ、専門的な機材が使える一部の人しか作ることができない高嶺の花でした。しかし、その一方、機材や技術の変化を背景に、新しい動きが醸成されつつありました。中村監督は、北京電影学院の授業では、貪るように世界各国のドキュメンタリー映像作品から栄養を吸収していました。ドキュメンタリー映画とは何かを問いつつ、考え方をどんどん深め、「ヨコハマメリー」の題材を暖めていました。
今回のインタビューには、映画研究家で、日本語月刊誌編集長の王衆一さんに特別ゲストにおいでいただきました。ぜひお聞きください。
【プロフィール】
中村高寛(なかむら・たかゆき)さん
1975年、神奈川県生まれ。1997年に松竹大船撮影所よりキャリアをスタート。李纓監督の『味』(2003年)、『靖国(YASUKUNI)』(2008年)で助監督。2006年に映画『ヨコハマメリー』で監督デビュー、横浜文化賞芸術文化奨励賞、文化庁記録映画部門優秀賞、ヨコハマ映画祭新人監督賞・審査員特別賞、藤本賞新人賞など11の賞を受賞。また、NHKハイビジョン特集など、テレビドキュメンタリーも多数手がけている。その他、『キネマ旬報』でエッセイ「黄金町ブルース」を連載(2010‒2016年)。2017年、映画第2作となる『禅と骨』が公開。
主な著書:
『ヨコハマメリー:かつて白化粧の老娼婦がいた』、中村高寛著、河出書房新社 (2017/8/28)
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