北京
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毎週土曜日にお送りしている「チャイナビジョン2019」。お相手は張怡康です。今回は、中国各地の農村部で進行している美しい農村の建設と、人々が地元の魅力を引き出し、貧困脱出に繋げる姿をご紹介します。
河北省に位置する西柏坡。70年前、中国共産党の指導者毛沢東氏らがここで「遼瀋」「淮海」「平津」の三大戦役の指揮を執り、また、全国土地会議を開いて全中国を解放しました。そのため、「新中国は西柏坡から始まった」とも言われています。この西柏坡から約3キロ離れたところに南文都村があります。この村では2018年末、200世帯を超える全住民が貧困状態を脱出し、衣食住に困らない生活を過ごし始めています。
山間部にある南文都村には204世帯687人が住んでいます。昔から農業で生活していますが、3年前までは約3分の1が貧困家庭でした。その折に貧困扶助チームが派遣され、村に駐在して貧困脱出に向けた一連の取り組みを始めました。企業の投資を誘致し、土地、山林などの資源を活かしてブドウやリンゴ、サクランボなどの栽培のほか、川、道路、橋などの整備を通じて、近代的な田園観光産業が地元で培われてきました。産業の発展により、地元の貧困問題も解決に至りました。
農業で有名な都市・重慶市。農村部の振興戦略推進や貧困脱出の難問解決において、涪陵区藺市鎮は国家級の特色を持つ鎮として、独自ブランドを開発し、付加価値の高い製品を生み出しています。
藺市鎮銅鼓村にある芝南茶工場は1998年に設置され紅茶を製造していますが、満足のいく収益を上げられませんでした。2003年に工場は浙江省から高級な白茶の品種を導入して製品の水準を向上させ、率先して現地で白茶作りを始めました。鎮政府は工場に累計300万元あまりを投入し、土地、注水施設、道路整備などを支援しました。現在、芝南茶工場は無公害認証基地約53ヘクタール、モデル茶園20ヘクタールを有しています。製品の茶葉は人気商品となり、自主ブランド「芝楠」の高級涪陵白茶は1キロ6800元、緑茶は1キロ2000元の高値で取引されています。それに伴い農家の収入も大きく増えています。
貧困脱出は江西省でも進行中です。近年、江西省瑞金市は「瑞金塩漬けアヒル玉子」を主な支援産業として、優先的に推進することにしています。2015年に設立された廖奶奶(リョーナイナイ)塩漬けアヒル玉子専門合作社はこれまで28世帯の貧困家庭を率いて収入増加と貧困脱出を実現しました。
瑞金市壬田鎮鳳崗村に住む廖秀英さん(88歳)はアヒル玉子の塩漬けの腕が上手なことで知られています。しかし、交通が不便なため、近くの市場で売るしかなく、多い日でも1日に数十個しか売れませんでした。2015年、Eコマースの農村進出によって、廖さん一家は電子商取引を始め、一日の売り上げとしては最多となる4000個を売りました。
鎮の共産党委員会、政府及び貧困扶助部門の支援の下、廖さんは「廖奶奶塩漬けアヒル玉子」の商標を登録すると共に、廖奶奶塩漬けアヒル玉子専門合作社を設立しました。「合作社+Eコマース+貧困家庭」という経営モデルで、ブランド、品種、方法、技術、買い上げ、販売を統一するという「6つの統一」の原則に従い、合作社は貧困家庭に無料でアヒルのヒヨコを配布し、廖さんの基準によって飼育したアヒルが産んだ卵を買い上げ、塩漬け玉子を作っています。貧困家庭に雇用機会を提供し、貧困家庭の収入増加を助け、より多くの貧困家庭の貧困脱出を導きました。
現在、廖奶奶塩漬けアヒル玉子専門合作社は社員として32世帯を引き受け、そのうち貧困家庭は28世帯あります。
地元発展の波に乗る形で、多くの若者が里帰りして起業、それぞれの夢を追い駆ける姿も見られるようになっています。地元政府も、里帰りした若者たちの起業に奨励策を打ち出しています。
発展しつつある中国の美しい農村、もしいらっしゃる機会がありましたら、是非とも一度体験してみてください。