北京
PM2.577
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キーワード①
【双卡双待】(shuāngkǎ shuāngdài)[名]DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ).
1台のスマホに2枚のSIMカードを挿すことができ、なおかつ2枚のSIMで同時に待ち受けが可能な、スマホの機能を指す言葉です。中国ではこの機能を持つスマホの機種が人気です。
通常なら二つ以上の電話番号を持つというのは面倒ですし、あまり経済的ではないのではないかと思われますが、根本的な理由を考えると、これも止むなしなところがあります。
現実として、このようなスペックが流行る背景には複雑な料金事情が存在します。
中国のモバイル通信サービスは「中国移动(チャイナモバイル)」、「中国联通(チャイナユニコム)」「中国电信(チャイナテレコム)」の3つの通信キャリアに集中しています(最近はMVNOも少しずつ発展しています)。これらのキャリアは、様々な料金を設定しており、回線料が安かったり、パケット通信料が安かったり、通話料が安かったりするのですが、そのチョイスの中で、全体の費用を節約することを目的に、二つの番号を組み合わせて持っている人が多くいるのです。
諸外国では、番号は属人的なもので、番号を替えずに通信キャリアを乗り替えることができるようですが(日本ではMNPと呼ばれていますね)、中国では、番号はキャリアの資産であり、キャリアを乗り替える際には番号を替えなければならないのです。日本では当たり前のMNPですが、中国ではずっとできないままでいます。
まだスマホが発売されていない頃には、割引の料金プランが出る度に番号を替える人が多くいたのですが、スマホが普及して以降、携帯電話番号は単純に通話用のものではなくなり、アプリの登録IDになったり、銀行カードやモバイルペイメントの届け出電話だったり、メインの連絡先だったりして、番号を替えると色々と面倒なことが起こるようになります。そのため、ユーザーらがこうした自衛手段に訴えるようになった結果、このようなスペックをもつスマホが流行るようになったのです。
そんな勢いに負けたのでしょうか、iPhoneでもデュアルSIMの機種が出ましたが、最高額の機種だけしか適用されていないのと、使用にあたっても実際には2枚目の利用条件が制限されていることから、さほど使いでがあるわけではないようです。
他にも、ビジネスマンは仕事の電話が多いことから、個人用に別の番号を持つことがよくあります。その為に2台持ちをする人もいますが、最近ではこのDSDS対応機種を用いる人が増えています。この流れを見ると、今後は世界中のさまざまなメーカーがこの需要に対応しなければならなくなるのではないかと思われます。日本や欧米圏では、公私を極端に分ける方が増えていることからも、こうした機能がデフォルトになってくるのではないかと思われます。他にも、世界中を飛び回る人にも必要になることが予想されます。別の国に行くたびに番号を変えたり、SIMカードを買ったりというのは、非常に不便なものです。
今後は、社会の変化に応じて、これが1枚のSIMで世界のキャリアに登録できるESIM型へと変わっていくことも予想されます。どんどん便利になりますね。
キーワード②
【播放量】(bōfàngliàng)[名]再生回数.
ネット上の動画の再生回数を指す言葉です。「播放量」の数は動画コンテンツの人気を計る基準にもなっています。
動画サイトを見ていると、よく動画にカウンターが付いているのに気づきます。業界内の人の話では、モバイル端末でも、PCでも、テレビでも、1動画の自動再生とユーザーのクリックによる再生がそれぞれ1「播放量」と計算される他、なんらかの理由で回線が切断され、再接続すると改めて1「播放量」が加わるという計算をするそうです。さらに、待ち時間に再クリックすると改めて1「播放量」が加えられ、連続テレビドラマになると、次回予告をクリックすることも、「播放量」として数えられるといいます。ですので、一人のユーザーがたくさん「播放量」を貢献できるということになるとのことです。その為、1本の連ドラの「播放量」が400億の場合、実際に見た人の数は400億を回数で割って、さらに、5から10で割った数字で判断することが必要なのだそうです。
ですが、これが外国のサイトになると、かなりその基準も厳しくなるようです。普通のクリック数ではカウントされず、本当に生身の人が見ているのかというチェックに通らないとカウントがされないのだそうです。つまり、かなり不正へのチェックが厳しいということになります。これは、広告収入と再生回数にはかなり強い結びつきがあることから、その回数のカウントには厳格な基準が設けられていることを示すものです。
中国でも、9月初め頃、動画サイト「爱奇艺」が声明を発表し、サイト全体で動画の横に表示されていた「播放量」の表示を取り消し、その代わりに、ユーザーの関心度、インタラクティブ操作の頻度、コンテンツの人気度などを表示する、という方針を打ち出しました。この変更は「播放量」だけを重視するという業界内の風習を批判したものにもなっている点が面白いところと言えるでしょう。
数字は使われ方次第で毒にも薬にもなりますし、数字のあるところには不正が横行しがちです。沢山の人々が汗水流して作った作品が公正な評価を受けられるようにと、こうした努力を惜しまない会社は思わず応援したくなるものです。そして、こうした良心的なプラットフォームから本当に良い作品が生まれることを祈るばかりです。