北京
PM2.577
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キーワード①
她经济(tā jīngjì)[名]ウーマン・エコノミー.
「她经济」は、2007年、教育部に新語として認められた言葉で、「女性经济」とも言われます。ここで言う「她」とは、経済的に独立し、旺盛な消費ニーズ及び消費能力を備えた女性を指したもので、女性の経済水準と社会的地位の向上によって、女性の資産運用(財テク)と消費を中心に、独特な経済圏と経済現象が出現していることが読み取れます。そして、このような女性の消費による経済推進効果のことを「她经济」と呼んでいます。
この「女性经济」つまり、「她经济」の概念を初めて提起したのは、経済学者の史清琪氏で、多くのメーカーが女性の立場から商品のターゲットを定め、新しい商品の研究・開発に取り組むようになっているとの分析を発表しました。
しかし、最近ではちょっと状況が変わり、単純に消費するだけでなく、女性が起業する例も増え続けています。中華全国婦女連合会の統計では、インターネット分野では女性アントレプレナーが55%を占めるようになっており、さらに、インターネット経済の発展が突出している浙江省では、インターネット分野における女性アントレプレナーの割合が70%を超えているとされます。中でも、ネットショップや微商(ウィーチャットを利用して販売・PR活動を行う人)が一番多く、24.3%を占めています。そして、ウィーチャットアカウントライターが23.9%、「自媒体(セルフ・メディア)」を運営する人が22.2%、ネットライブ配信パーソナリティが17.1%と続いています。いずれも、資本がそれほどなくても始められるビジネスとでも言いましょうか、本来ビジネスでなかったものに消費価値が見出されているパターンが多いようです。
キーワード②
他经济(tā jīngjì)[名]マン・エコノミー.
字面からもおわかり頂けると思いますが、これは女性と対極にある「男性经济」、つまり、男性の消費による経済効果促進を指した言葉です。
西南証券のアナリストである朱斌氏は、このほど発表したレポートで、男性の潜在消費力が過小評価されている、との分析を行いました。国際的コンサルティングファームであるボストンコンサルティンググループ(BCG)のレポートでは、中国の男性による消費の種類と金額は共に増えており、そのうちの一部は女性を上回っていること、また、女性と比べて、男性の方が収入を上回る消費をしがちなこと、さらに、ハイエンド消費分野では、男性が主力だということ、そして、意外な分野で男性の消費が活発だということが明らかにされました。また、ユニオンペイ(中国版全銀ネット)が発表したレポートでも、男性のネットでの消費力が女性を上回り、特に、モバイル決済の利用では、実店舗での消費とネットでの購入の比率が高いことが明らかにされています。
中国では、中産階級の数が増えることが、消費モデルの転換と消費のアップグレードの要因と捉えられていますが、中産階級の人口を見ますと、男性の数が女性を遥かに上回っていることがわかります。コンサルティング会社アイリサーチの統計では、2017年の高収入層の中で、男性の比率は63.4%、女性は36.6%となっています。男性経済の盛り上がりには、男性の消費意欲と経済力の向上のほかに、独身男性の増加もその要因として働いていると分析されています。
独身男性の場合、どちらかというと貯蓄というより消費に偏りがちになるのでしょうか。また、女性なら消費分野が比較的固定されがちですが、男性は年齢層によって、消費分野が変わる特徴があるようです。東方証券のリサーチレポートでは、男性の場合、16〜25歳の時期にはスポーツ、ゲーム、ファッションに、26〜36歳の時期には主にパソコン・デジカメ・通信機器などのデバイスやガジェット、自動車、旅行、フィットネス用品などに、37〜50歳では腕時計、ぜいたく品、自動車、旅行などに、51歳を超えると健康のための消費にそれぞれ集中しているとしています。他にも、「颜值经济」の影響で、今まで女性の消費分野とされていた美容・スキンケアに費やす金額も多くなっているとしています。特に1995年以降に生まれた若者がルックスのことをかなり気にしているようです。
消費大国になった中国で、この先、どんな経済が生まれるか目が離せません。