北京
PM2.577
23/19
キーワード①
【熊猫债】(xióngmāo zhài)[名]パンダ債, パンダボンド.
中国で非居住者(中国以外の政府や国際機関、金融機関、企業など)が、香港以外の中国の大陸部で人民元建てで発行する債券、非居住者人民元建債券を指したものです。
なお、世界で初めて「熊猫债」を発行したのは、国際金融公社(IFC)とアジア開発銀行(ADB)によるものだそうで、こちらは2005年10月に発行されています。
香港以外の中国の大陸部と言うふうに分けたのは、大陸部以外、主に香港で発行・流通するオフショアの人民元建て債券があることからです。こちらは「点心債」(ディムサム・ボンド」と呼ばれ、2007年に実験的に始まったものです。日本のサムライボンドと似たような存在です。
去年の年末、中国と日本の金融機関が、日本企業による中国での人民元建ての債券、つまり「パンダ債」を発行することで合意しました。みずほ銀行が中国人民銀行から認可を得て発行するもので、発行額は5億人民元、年限は3年の「熊猫债」を発行することになっています。これは日本企業としては初めてのもので、そのほかには三菱UFJ銀行が「熊猫债」の発行を申請中だと伝えられています。
今年に入り日中関係が改善され、これもその流れの中のものと言えます。それに加えて、中国は改革開放をより深化させるという方針の下で、金融市場の国際化を進めていることをPRしていることとも関係があのではないかと思われます。
キーワード②
【单身税】(dānshēn shuì)[固]独身税.
一見したところ「独身者に課する税金」に見えますが、これは「独身税」という税目を設けるということではありません。この「税」と呼ばれているものは、未婚を原因に、納税する際に一部の減税や減免の優遇措置を受けることができないことを指しています。つまり、既婚者と比べると、実質より多くの個人所得税を納めなければいけない状態をいうものです。
今の社会では、結婚しなければならない理由付けが希薄になり、結婚しないことを選ぶ人が増えています。いっそ「独身時代に入った」と言ってもいいかもしれません。2010年の統計では、イギリスの既婚者数は150年間で最低に、フランスでは三世帯に一世帯が独身者、ドイツのベルリンでも独身人口が54%となっています。日本では30歳から34歳までの未婚率が47.1%、そしてそのうち女性は32%。さらに、韓国も独身全盛期に入ったと言われています。
ですが、同じく2010年の数字でみると、イギリスでは独身者の一年の支出が既婚者よりも5000ポンド多くなるそうです。つまり、一生独身でいると既婚者より25万ポンドほど(日本円で3500万円前後)多く支払う計算になるということになり、非常に厳しい選択肢と言えるかも知れません。
その一方で、中国では、先月末、独身税に当たる内容の含まれた『個人所得税法修正案(草案)』のパブコメ募集が終了したばかりです。今回の修正案は、その注目度が同時期にパブコメを募集したほかの法律より随分高いものになっているようです。これまで取り上げた「个税起征点」もそうでしたが、この「单身税」もかなり注目されていることが伺えます。
では、その中で、どのようなものが独身税に当たるのでしょうか。今回の修正案を見てみると、そこには初めて「专项附加扣除(特別付加控除)」という項目が加わっています。その控除対象の中には、子供の教育費、生涯教育費、重大疾病医療費、住宅ローンの利息と家賃などが含まれています。そして、今後、所得税を納める際には、基本高齢者保険、基本医療保健、失業保険、住宅積立金などの基本的な「专项扣除(特別控除)」項目の他に、「专项附加扣除(特別付加控除)」をさし引いてから税金を計算することになります。その結果として、最も追加控除から縁遠いセグメントが独身者ということになるわけです。住宅を所有していなければ尚更です。ただ現状の社会では、どのくらい差がつくかが問題とも言えます。控除額以上に収入があり、さほど可処分所得に影響のない状態の人が多ければ、こうした措置もあまり効果の期待できるものではないかもしれません。