北京
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キーワード①
【长江经济带】(chángjiāng jīngjìdài)[固]長江経済ベルト.
文字通り、「長江経済ベルト」を指す言い方です。時代によって日本でも呼び方が変わっているようですが、「長江経済帯」そのままでも使うこともあります。このベルトは、上海、江蘇、浙江、安徽、江西、湖北、湖南、重慶、四川、雲南、貴州の11の省や市をカバーするもので、面積にして約205万平方キロメートルに及び、人口とGDPはいずれも全国の40%を超えています。
ご存知の通り、長江は中国で一番長い川であり、世界でも三番目に大きい川とされます。この長江経済ベルトは、長江流域で最も経済が進み、それが後押しされている地域ですが、この地域の発展を推進することは、今まさに中国の国家レベルの地域発展戦略になっています。
実は、これは習近平国家主席が2014年、翌年の経済活動について指示を出した時、「一帯一路」、「北京天津河北の共同発展」と並ぶ三大戦略として提起したもので、この戦略自身の特徴として、環境保護とイノベーションが強調されたものとなっています。
2014年、国務院が公布した『黄金水道を基幹とする長江経済帯の発展推進に関する指導意見』という政府の文書では、この地域をエコ文明のモデルゾーンに建設せよと指示しています。2016年には、習近平国家主席も重慶で長江経済ベルトの発展推進に関する座談会を主催し、「共抓大保护、不搞大开发(共に資源保護に取り組み、大規模な開発をしない)」という指示を出しています。習主席はさらに、今年の両会議期間中に重慶代表団の審議に参加した際に、また、今年4月に湖北省と湖南省を視察した際にも、この点を強調しています。
一方のイノベーションに関しては、国家発展と改革委員会、工業と情報化部などの政府部門の発布した政策によりますと、ベルト区域内の現存の産業基盤である国家レベル、省レベルの開発エリアと産業パークエリアにおいて、電子情報、高級設備、自動車、家電、紡績・衣料品といった五大分野でベルト全域をカバーする産業チェーンを構築し、関連産業の移転と集中を図り、産業プロセスの様々な位置にある企業を長江の一帯に配置し、世界でも先進的なレベルを持った製造業の全工程をカバーする世界クラスの産業基地を育成するということが計画されています。
現状を見てみますと、長江一帯では、地理的位置、産業、労働力、市場などのメリットを生かし、長江経済ベルトの地域内で産業の川上から川下までをカバーできるような基地を作りあげることについて、各業界ですでに共通した方向性のようなものを持つようになっているようです。
とはいえ、これは中国オリジナルのものではなく、過去には海外、例えば欧州や米国などの先進諸国でも、似たような方法を取って発展を遂げてきた歴史ある成熟した方法の一つとも言えるものです。
キーワード②
【湾区经济】(wānqū jīngjì)[名]ベイエリア経済.
これは沿海に分布する港や町を連合させることによる経済波及効果を指した言葉です。広東省の珠江デルタの9都市(広州、深セン、仏山、東莞、恵州、中山、江門、珠海、肇慶)および香港・マカオにまたがる湾岸地域を「粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレートベイエリア)」と言いますが、現在、中国政府では、この地域を将来的にニューヨークやサンフランシスコ、東京と比肩する世界でも有名な経済都市圏へと発展させる構想を立てているようです。
広東省の9つの都市、プラス香港、マカオという地区をひっくるめて「ビッグベイエリア都市群」としているわけですが、これはゼロから生まれた構想ではなく、かつての珠江デルタ地域の都市の融合発展に香港とマカオを加えたもので、もともとあったもののアップグレード版と見てもいいと思います。
これまでは、広東省は生産拠点で、香港、マカオは市場だったものが、今後は製造業とサービス業を融合する地域へと変貌して行くことになります。
2017年、李克強総理は政府活動報告の中で、「大陸と香港、マカオが協力を深めることを後押しし、香港・マカオの独特の優位性を発揮させ、国家の経済発展と対外開放の過程における香港・マカオの地位と機能を高めていく必要がある」と述べています。他にも、同じ年ですが、香港返還20周年を迎える7月1日には、習近平国家主席が『広東・香港・マカオ協力を深め、グレートベイエリア建設を推進する枠組み協議』の調印式に出席しています。
発音だけ聞くと、ひん曲がった経済(弯曲经济)と勘違いしてしまいそうですが、是非漢字を頭に入れて、勘違いのないようにしてください。