北京
PM2.577
23/19
キーワード①
【社交货币】(shèjiāo huòbì)[名]ソーシャル・カレンシー.
直訳すると「社交通貨」となりますが、これはソーシャルエコノミーの概念の一つで「ソーシャル・カレンシー」という言葉の訳語です。この言葉はペンシルベニア大学ウォートン校のジョーナ・バーガー准教授が書いた『なぜあれは流行るのか』に登場して話題になったものです。バーガー准教授はその文章の中で、一つの物事が影響力を持ち、広く知れ渡るために必要な6つの原則の一つとしてソーシャル・カレンシーを挙げました。その概念が中国に導入され、「社交货币」と訳されることになったわけです。
さて、この「货币」ですが、本来通貨には流通、交換、価値の証明という3つの意味あいがあります。このような一般的な通貨は、衣食住など日常の生活に必要ですが、「社交货币」は、「人に自慢できるような価値のある情報をシェアすることによって得られる社会的価値」、となります。要はすべてのソーシャル活動(発言、リツイートやいいね)が個人のソーシャル価値を強化、或いは劣化させるものとして機能しているということなのですが、さらに言えば、「SNSでの発信内容を通して他人から得られる点数」のことで、ゲームでいう印象値、魅力値のようなイメージで考えるといいでしょう。
このSNS真っ盛りの時代では、自分を良く見せたいとか、人からよく見られたいとか、希少価値を付けたいとか、そういうポイントから考えて見る人の役立つ、すごいと思われる内容を発信することで、この「通貨」、ソーシャルカレンシーを稼ぐ意識を持つ必要が出てきているということです。
ちょっと前に「网络投票」の話をした時にも、「社交货币」のことに少し触れましたが、そういった投票をリツイートすると、必然的に「社交货币」の価値が下がることになります。お付き合いや家族の為にリツイートすることはよくあることですが、周りからの評価をキープするには、それを頻繁にやらない、或いは全くやらない方がいいということになります。
そう考えると、モーメンツやタイムラインなどにアップしたコメントや自摂り写真、ショートムービーなどは単なるシェアではなくなり、「社交货币」の価値をあげるために陳列する「商品」とも言える存在になるわけです。したがって、特定の記事につけたコメントやいいね、さらに誰のフォロワーなのかという点の全てが「社交货币」になることになりますからから、常に自分の「社交货币」の相場をしっかり管理して、つまらないことで価値を下げないような振る舞いをすることが必要になってきているという自覚が必要になります。
キーワード②
【底线】(dǐxiàn)[名]ボトムライン.
長方形のグラウンドの短い端を指した言葉です。例えばテニスの場合ですと、ベースライン、バレーボールの場合ですと、エンドラインのことを「底线」と呼んでいます。もう一つの意味は、精神的に許容可能な範囲の最低線、ボトムライン、最低ライン、ギリギリのライン、最低レベルなどのことを指すものです。
例えば、社会では法律が「底线」になり、それを超えると「犯罪」になるわけです。他にも、例えば交渉事をするときには、それぞれ自分の「底线」に踏み混まないことを前提に交渉を進めていく事になります。どちらかの「底线」に踏み込んでしまうと、片方の利益が崩れてしまうことになって、交渉が成り立ちません。
ちなみに、中国共産党では、党員に対して、4つの「底线」を守ることを要求しています。それは法律、紀律(党の紀律)、政策と道徳という「底线」です。党規約などは書店でも買えますから、中国語の勉強も兼ねて読んでみるのもいいかも知れません。しっかり読み込む事で、今まで見えなかった中国社会の姿が見えてくるのではないかと思います。
コメント&用例
[例 文]高考报志愿有底线,除了兴趣还是兴趣
[参考訳]大学の専攻選びで守り抜きたい最低ライン 何があっても興味優先
[出 典]http://news.sina.com.cn/o/2018-06-08/doc-ihcscwxa1064580.shtml
[例 文]好的金融企业要对风险底线提前认知和预判
[参考訳]優秀な金融企業にはリスクのボトムラインに対する事前の見極めが必要
[出 典]http://finance.eastmoney.com/news/1374,20180615889392654.html
[例 文]你的底线,就是你的人生高度
[参考訳]ボトムラインが人生のステージを決める
[出 典]http://www.sohu.com/a/234200763_125459
[例 文]中方划定中美磋商底线:打贸易战将致谈判成果失效
[参考訳]中国側が中米交渉のボトムラインを設定 貿易戦をするならば交渉成果はすべて無効に
[出 典]http://economy.caijing.com.cn/20180604/4463944.shtml
[例 文]自媒体岂能只“蹭”热点不要底线
[参考訳]オウンドメディアは際限なく流行りの話題に群がるばかりでいいのか
[出 典]http://news.sina.com.cn/o/2018-05-18/doc-iharvfhu9915574.shtml