北京
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キーワード①
【个税起征点】(gèshuì qǐzhēngdiǎn)[名]個人所得税起算額;所得控除額.
正式な言い方は「个人所得税费用扣除标准」または「个人所得税免征额」で、個人所得税の課税起算額もしくは所得控除額を指した言葉です。
これまでの「个税起征点」は月収3500元でしたが、これは今から7年前の2011年6月30日に開かれた第11期全人代常務委員会第21回会議で定められ、その年の9月1日から実施されたものです。問題は、その後の中国で物価がグングン上がる一方、国民の平均給与はそれほど上がらなかった点で、その結果として、共働きしないと家族としてやっていけない状況が日常化していました。
個人所得税に関しては、中国では1980年に初めて『个人所得税法』が公布され、翌年の1981年から個人所得税の徴収を始めています。徴収が始まった当時、控除額は(今から見ると)「たった」の800元でした。こういうとなんとなく少ないようですが、実は、当時の中国で800元以上の月給をもらえるのは、中国にいる外国籍の人がほとんどだったのです(兌換レートは今の約10倍程(1元=160円前後)でした)。また、1986年9月に公布された『中华人民共和国个人所得调节税暂定条例』では、一度この額を400元に下げています。その後、一連の変遷を経て、2006年に「个税起征点」は1600元に、そして、2008年には2000元に、さらに、2011年には3500元にと変化を遂げてきました。
実は、個人所得税が中国の税収の中に占める割合はわずか6%前後しかなく、国庫にとってはそれほど高い比率とは言えませんが、個人個人にとって、特に、給料がそれほど高くない人にとっては、些細な金額ではありません。特に、近年のように、給与のベースアップが物価の上昇に追い付かない場合、「个税起征点」をもっと高めていかないと、一般の人の可処分所得が増えず、生活にも余裕が生まれず、結果として消費を刺激することができなくなるのです。
中国には個人消費欲の強い国民をたくさん抱えていますから、税金が減り、可処分所得が増えることで、もっと経済が回ることになるのではないかと思います。
キーワード②
【住房公积金】(zhùfáng gōngjījīn)[名]住宅公共積立金.
これは先日紹介した「五险一金」の「一金」が指す住宅積立金のことです。1991年5月、上海市がシンガポールやり方に倣って中国で初めて「住房公积金」制度を実施したのがそもそもの始まりで、1994年7月には、国務院が『都市住宅制度改革の深化に関する決定』を公布し、全国範囲で「住房公积金」制度の実施を推進しました。
この制度は、個人の給与から一定の割合の金額を強制的に徴収、さらに、医療保険と同様に会社側も同様の金額を補助し、その合算金額を個人の「住房公积金」の口座に振り込んで、住宅の購入や賃貸、または、住宅の建て替えや室内内装工事などの用途に充てることを促す制度です。
また、この「住房公积金」は、現金でもらえるわけではなく、口座は住宅積立金管理センターによって統一管理されていることから、使いたいときには結構面倒な手続きをしなければなっています。ですが、定年や会社を辞める時や居住地を別の省に変更する時にはそれを引き出すことができることから、一部の人にはちょっとした臨時収入にもなっていました。
最近、一部の都市では「住房公积金」についての新しい政策が発表されています。これによって制度のカバレッジが広くなっただけでなく、その引出がより便利になりました。例えば、北京の場合、5月15日から「北京公积金」というスマホアプリやアリペイ、そしてウィーチャットの公式アカウントを通じて、「住房公积金」の残高やローンの残額などの状況を調べることができるようになりました。報道されているところによりますと、今年年末までには、これらのツールを通じて、「住房公积金」の引き出しもできるようになるとされています。そして、これまでは、「住房公积金」を使う場合、会社側の担当者の署名がないと手続きできませんでしたが、今後はそれがなくても手続きできるようになるそうです。
また、北京で住宅を買う場合、住宅建設委員会の公式ウェブサイトを通じて購入するタイプの住宅であれば、個人の身分証だけでネットを通じてこの「公积金」を引き出すことができる様になるということです。