北京
PM2.577
23/19
こんにちは、日本人スタッフの森です。改めて鉄道に関する話題をお届けしましょう。このところ北京は一気に暖かくなって、あちこちで花が咲き乱れています。この春風に誘われて3月29日、市内北東部のやや郊外にある鉄道博物館を訪れました。
北京市内には、鉄道博物館が2か所あります。一つは天安門広場の近くにあり、地下鉄の駅前で大変便利な所にありますが、今回選んだのはもう一つの、市の外れで交通が不便な方です。平日の日中だったせいもあり、見学者はまばらでした。
ここは列車の走行テストコースの近くにあり、展示物はこの写真の建屋の中にあります。ここはかつては車両の整備場か車庫だったらしく、こうした立地は埼玉県大宮市や京都にある日本の鉄道博物館と少し似ています。なお建屋の上にある赤いマークは中国国鉄のロゴで、レールの断面図を描いています。
展示車両は機関車が中心です。パンフレットによりますと、125台の機関車が展示されているとのことです。中国の鉄道は長らく貨物輸送が主役を務めており、地図上に示された路線も、旅客の乗れない貨物専用線がかなり混じっています(日本の地図は貨物線は載せないか表記を変えている)。
そして、車両に添えられた説明書きをよく見ると、日本製の機関車がかなり多いことも分かりました。
こちらはSLの「毛沢東号」です。右写真の説明を読みますと、「1941年、日本製。1977年に引退」などと書かれています。なお機関車の右わきに小さく人が写っていますが、これらはいずれもダミー人形です。
また、車内の様子も別料金で見学できます。
「公務車」と書かれたこの車両は、日本の「お召列車」に相当し、先ほどの毛沢東や周恩来の専用車両です。
左の写真は最後尾の展望車で、車内とは思えないようなデラックスなソファーが並びます。また右写真は書斎室のようで、毛沢東が執務している様子です。これも人形ですが相当リアルに作られており、ちょっと冷や汗をかきました。
車両以外の展示物もあります。こちらは行き先表示版、鉄道用語でいう「サボ」です。中国も今はLED表示に切り替わりつつありますが、やはりこうしたプレートの方が旅情を誘いますね。
中国の鉄道は長らく貨物が主役を務め、庶民にとっては故郷への長い長い道中を過ごす苦しい空間といった存在でしたが、このところ急速に高速化が進み、また車内の設備も見違えるように改善しています。人が主役となった現代の鉄道の発展ぶりについては、前述のもう一つの鉄道博物館に展示されているようです。近々そちらの模様もレポートしましょう。(森 雅継)