北京
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映画のポスターに欠かせない「キャッチコピー」に注目したことはありますか?中国では近年になって、さまざまなキャッチコピーを見かけるようになりました。短い言葉に映画の魅力が凝縮されていて、中には「この映画を観たい!」と思わずにはいられなくなるような名文句もあります。中国語のキャッチコピーの意味を知ることは、映画への理解を深めるだけでなく、日本の皆さんにとって中国語学習の良き教材となることでしょう!
インド映画特集
今月の『映画のキャッチコピーに学ぶ』は、最近、中国圏で感動の旋風を巻き起こしたインド映画にフォーカスしたいと思います。
キャッチコピー①:虎父无犬女(hǔ fù wú quǎn nǚ)
日本語訳:この父にしてこの娘あり
こちらは2017年5月に中国封切られたインド映画『ダンガル』の台湾版ポスターに配されたキャッチコピーです。中国のことわざで「虎父无犬子(直訳:虎の父に犬の息子なし)」という言葉がありますが、父親と娘たちの絆を描いた物語であることを踏まえ、「子」を「女」にした「娘版」の、ことわざ風コピーになっています。本作は、実在するインドのレスラー姉妹を題材にしたヒューマンドラマで、自分が果たせなかったレスリング金メダルの夢を息子が叶えてくれると信じていたインド人男性のマハヴィールが主人公。しかし、生まれてくる子どもは全員が女子。ある日、長女と次女にレスリングの可能性を見出した彼は、彼女たちをメダリストに育て上げるべく厳しい特訓を始める――という親子の絆を描いた感動的な物語です。父親役を演じるアーミル・カーンは、同作で20代と60代の役を演じ分けるために体重を30キロも増やすなど、献身的な役作りに挑戦しているそうです。中国ではなんと驚異の12億元超の興行収入をたたき出し、17年の映画シーンにおけるダークホース的存在の1本となりました。
キャッチコピー②:当世界拒绝你 就用你的梦想打开新世界(dāng shì jiè jù jué nǐ jiù yòng nǐ de mèng xiǎng dǎ kāi xīn shì jiè)
日本語訳:世界が君を拒むなら 君の夢で新たな世界を開こう
インド映画としては史上初!中国で記録的な3週連続1位を達成したインド映画『シークレット・スーパースター』。これはその香港版キャッチコピーです。中国でよく見かける自己啓発的慣用句のようなフレーズですね。本作は、2017年に記録的なヒットを飛ばした『ダンガル』に続き2018年1月に公開されたもので、保守的な家庭出身で歌が得意な少女が、身分を隠しながらYoutubeで自分の歌を発表し、「隠れたスーバースター」になるというネット時代ならではのストーリーで、シンプルながら力強く、素直に感動できる作品になっています。
キャッチコピー③:有一种感动叫笑着流泪(yǒu yī zhǒng gǎn dòng jiào xiào zhe liú lèi)
日本語訳:この感動の味は 笑って流した涙の味だ
今年3月に公開されたインド映画『バジランギー・バイジャーン』の大陸版キャッチコピーです。この映画は2015年にインドで公開された話題作ですが、中国でのインド映画ブームに乗って遂に3年越しの中国公開を実現。インドで迷子になったパキスタン人少女をインド人の青年がパキスタンの親元まで連れ帰るという、印パ友好を象徴するストーリーです。キャッチコピーの通り「笑いあり涙あり」の感動作に仕上がっており、インドでもパキスタンでもヒットを記録しています。 (ミン・イヒョウ、謙)