北京
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ボアオ・アジアフォーラム2018年年次総会が海南省ボアオで開幕しました。習近平国家主席が開幕式に出席し、基調講演を行いました。
習主席はその中で、中国がいかに対外開放を再拡大させ、改革の再出発を図っていくかについての権威的な説明を行い、アジアと人類の運命共同体の構築、アジアと世界の美しい未来を切り開くことについて、中国の立場を明らかにしました。
習主席はまず、ボアオ・アジアフォーラムについて、「発足以来、アジアを立脚点にし、全世界に目を向けて、アジアの共通認識の凝集や各方面の協力の促進、経済グローバル化の推進、人類の運命共同体の構築などの面における提言を行い、多くの価値ある『ボアオプラン』を打ち出すことで、積極的な貢献をしてきた」と評価しました。
続けて、改革開放からの歩みについて、「この40年で、中国人民は集中的な建設を行い、揺るぎない改革開放を堅持し、中国の社会生産能力は大きく開放され、発展してきた。現在、中国は世界で2番目の経済体、世界一の工業国、最大規模の貨物貿易国、外貨準備高が最高の国となった。この40年間、国内総生産(GDP)の年平均成長率は9.5%に、対外貿易額の平均成長率は14.5%に達した。また、国連の基準に照らし合わせれば、7億人が貧困を脱出している。この数字は世界の貧困人口減少数の70%を占めている」と示しました。
さらに、「この40年、中国は国情を踏まえ、独立自主と自力更生を強調しながら、対外開放と協力互恵を大切にしてきた。社会主義制度と社会主義市場経済の改革方針を堅持し、トップダウン設計を強化して、中国の特色ある社会主義の道を切り開くことに成功した。中国の成功は、世界の人々に対して、現代化の夢を叶える道は一本ではないということ、正しい方向を見出し、たゆまぬ努力によって成功を収めることが必要なのだということを示した」とした上で、「この40年、中国は封鎖・半封鎖の状態から全方位の開放へと進む偉大な転換を実現し、対外開放における大国としての責任を担っている。外資導入から国際進出まで、世界貿易機関(WTO)への加入から『一帯一路』の共同構築まで、アジア金融危機への対応から国際金融危機への対応における大きな貢献まで。改革開放は中国における第二次革命であり、発展・革新・美しい生活を追い求める人民の歴史的な願いに順応するものであり、世界各国の人々が発展・協力・平和の生活を追い求める、時代の流れにも合致するものである」と示しました。
また、多国間の関係について習主席は、「平和と発展は、世界各国の人々が心から望んでいることである。各国の社会経済の発展における連携は日増しに深まり、お互いに影響し合っている。相互連結を推進し、融合的発展を加速させることは、共同繁栄に向けた発展の促進において必須の選択肢となるだろう」と述べ、さらに「革新と創造が、人類社会の前向きな発展を推進する上での根本的な原動力だ。革新と創造を拒む者は時代に立ち遅れ、歴史から廃れてしまう」と強調しました。
さらに、「各国は互いに尊重し合い、平等に接し合うべきで、自分だけが良いと自惚れてはならず、ゼロサムゲームをしてはならない。また、近隣窮乏化政策を実施し、弱国をいじめるような強権政治や覇権主義もあってはならない。意見の相違を適切に管理し、対話を通じて、共に責任を負い、国連憲章と国際秩序・システムを維持していくべきである。異なる内容と性質のものを併せ持ち、それぞれ異なりながらも調和することで共存し、文明が相互に参考し合うことを推進していく必要がある。自然に対する畏敬の念を持って、地球を愛し、人類の運命共同体を構築し、平和、安定、繁栄、開放の美しいアジアと世界を共に築き上げなければならない」と示しました。
その上で、「中国がどれだけ高いレベルに発展しようとも、他のすべての国を脅かすことはない。現在の国際システムを覆すこともなければ、勢力の範囲を築こうと図ることもない。中国は終始して世界平和の建設者であり、世界発展の貢献者であり、国際秩序の守護者である。中国は、変わることなく互恵共栄の開放戦略を堅持し、外資誘致と海外進出を両立させ、ハイレベルの貿易と投資の自由化・利便化政策を実施して、中国の特色ある自由貿易港の構築を模索していく」と表しました。
習主席はまた、今後の経済政策について、「今年、中国はいくつかの象徴的な措置を打ち出すことで、市場への参入規制を大幅に緩和していく」と明らかにしました。これらの措置について習主席は、「サービス業、特に金融業においては、去年末頃に発表された、銀行・証券・保険業関連の外資系株の割合規制を緩和するなどの重要措置を着実に実施するほか、保険業の開放度の拡大や、外資系金融機構に対する規制緩和と中国での業務範囲の拡大、国内外の金融市場における協力分野の拡大などを盛り込む」とした上で、「また、製造業においては、これまで規制されていた自動車、船舶、飛行機などの少数の業種に関しての開放の基礎が整ったため、外資系株の割合規制をいち早く緩和し、特に自動車業界における外資規制を大幅に緩和していく」と示しました。
その上で、「投資環境は空気のような存在だ。清らかな空気が整備されてこそ、より多くの外資を招致することができる。中国は国際経済貿易のルールに沿った環境整備に努め、透明性を高め、知的所有権保護を強化し、法に基づく事務処理の実施を堅持する。また、競争を奨励し、独占には反対する。今年上半期をめどに、中国は外資系企業による投資のネガティブリストの修正作業を終え、投資前の内国民待遇とネガティブリスト管理制度の実施を全面的に徹底していく」と強調しました。
習主席はそのほか、知的所有権の保護を強調し、「知的所有権の保護を強化することは、中国の経済競争力を高めるための最大の激励である。今年、中国は国家知的所有権局を再編し、法執行の要素を完備させ、法執行能力を強化する。法律違反の罰則を厳重化し、法による抑止力を発揮させる方針だ」と示しました。その上で、「中国は国内外の企業間の正常な技術交流と協力を奨励し、中国に進出した外資系企業の合法的な知的所有権を保護している。同時に、外国政府に対しては、中国の知的所有権の保護強化を求めている」と述べました。
さらに、「中国は貿易黒字を求めることを目標としておらず、輸入の拡大を望んでいる。今年は、自動車の輸入関税引き下げを相当の下げ幅で実施すると同時に、一部の輸入品についても関税を削減する。国民が求める、特色的で優位性のある商品の輸入を増やし、世界貿易機関(WTO)の『政府調達に関する協定』への加入プロセスを急ぐ」として、「先進国に対して、これまでに設置した制限をやめ、中国に対するハイテク製品の輸出制限を緩和するよう求める」と示しました。
習主席はまた、5年前に自身が打ち出した「一帯一路」構想に触れ、「これまでに80以上の国と国際機関が、中国との『一帯一路』協力協定に調印してきた。『一帯一路』の建設において、中国は地政学的な駆け引きや損得勘定をせず、封鎖的で排他的なグループを作らず、他国を凌駕して取引を強要するようなやり方もしない。各側には、『共同協議・共同構築・共有』といった原則を遵守し、『一帯一路』を経済グローバル化にふさわしい、最も幅広い国際協力のプラットフォームへと構築していってほしい」と述べました。
今回のボアオ・アジアフォーラム年次総会のテーマは「開放と革新のアジア、繁栄し発展する世界」で、世界各界からの2000人以上の関係者が一堂に会しています。中国の指導者のほか、オーストリアのファン・デア・ベレン大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領、モンゴルのフレルスフ首相、オランダのマルク・ルッテ首相、パキスタンのアバシ首相、シンガポールのリー・シェンロン首相、国連のグテーレス事務総長、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も出席しています。