北京
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キーワード①
大班额(dà bān'é)[名]大型学級定員.
「班额」は小中学校の学級の定員を意味する言葉です。中国の小中学校の一学級の定員は一般には35人から45人なのですが、一部の学校には「大班」と呼ばれる定員46人から55人までの大きい学級、「超大班」と呼ばれる56人から65人までの更に大きい学級、さらに、もっと人数の多い「特大班」と呼ばれる66人を超える特別に大きい学級が存在しています。
この「大班额」の出現はここ数年のことではなく、10年前から話題になっています。2016年の調査では、全国には義務教育段階で「大班额」の基準を満たす学級が45万学級あり、全学級数に占める比率は12.7%、もっと大きい「超大班额」の基準を満たす学級が14万学級ありました。ですが、これは2015年と比べると少なくなっており、「大班额」の学級が4万学級、「超大班额」の学級が3万学級、それぞれ減少しています。
「大班额」が現れた原因は一言で言うと、教育資源のアンバランスによるものです。都市と農村の学校の設置や教育環境、教師のリソースなどに格差が存在するだけでなく、同じ都市でも各行政区には格差が存在しています。保護者は子供を進学率の高い学校、或いは進学率の高い学校に進学できる学校に将来入れようと、学校の近くで家を買ったり、借りたりするなど、手段を選びません。その結果、一部の学校にこうした大規模学級が出現することになります。
ですが、上掲のように、2009年以降、「大班额」は毎年1パーセント以上の比率で減っています。2010年に出版された『国家中長期教育改革と発展計画要綱(2010‐2020)』、そして、2016年、国務院が公布した『県域内都市農村義務教育一体化改革発展の統合推進に関する若干の意見』、同じく2017年初に公布した『国家教育事業発展に関する第13次五ヵ年計画』では、いずれも2020年には56人以上の「大班额」を無くすことが明記されました。
教育も量から質への時代に入っていきます。これら政策の実施によって、この乱れた状態が収まっていくことが期待されます。
キーワード②
三点半问题(sān diǎn bàn wèntí)
「三点半」、つまり三時半の意味ですが、この三時半は小学校の下校の時間をさしています。ですが、中国の現実を取り巻く環境は少々複雑です。現状として、家からかなり離れている学校に通っている小学生が多く、保護者の送り迎えが必要となる一方、三時半に学校へ出迎えに行ける保護者が限られているという現実があるからです。そして、これが今回の両会議で熱く議論される話題にもなっています。
中国の家庭は共働きが多いので、三時半というのは非常に中途半端な困った時間になります。そんな状況の中、保護者の委託を受けて学校まで子供を迎えに行き、預かってくれる有料の「托管班(放課後託児クラス)」が出てきました。そして、保護者が会社勤務を終えて迎えにくるまで丸々2時間以上あることから、この「托管班」で習い事をする子も多くなっています。この「托管班」は、日本の塾のような大きな組織の中でやっているところもありますし、個人が運営しているところもあります。勿論、それなりの費用がかかります。
かつて1980年代には、学校にも日本のクラブに当たる「课外活动班(課外活動グループ)」がありました。それぞれの教室に先生がいて、スポーツ、音楽、美術、科学、国語の応用クラスなどがあって、どれに参加してもよいというものでした。現代の子供たちが通う習い事とは違い、完全に趣味でやっていましたし、なにより無料でした。
今の若者世代は、競争社会の弊害とでもいうべきでしょうか、点数とか、値段とかばかりに価値観を奪われて、逆にそれが自分だと思っている人たちが増えています。こうした現象は、急速に生活が豊かになる中で、逆に競争が激しくなり、自らの満足や幸福への評価基準を見失っていることの裏返しと言えるかもしれません。
最近はビジネスの世界でもWLB(ワークライフバランス)が強調されるようになっているように、自らの生活時間を確保することは、親子間のコミュニケーションの機会や家庭団欒の時間を確保することにもつながります。親の世代が心のゆとりを増やし、そして感性豊かで社会的な責任感をもった次世代を育てて行くためにも、この「三時半問題」などを含む教育や家庭の問題が社会全体で解決されることが俟たれます。