北京
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キーワード①
【恐归族】(kǒngguīzú)[名]帰省恐怖症患者.
出身地から遠く離れた場所で就職し、暮らしているにも関わらず、春節に故郷に帰ることを億劫がる人たちを指した言葉です。
帰省を恐れる一番の理由としては「財政赤字になる可能性」があることが挙げられます。まずは交通費ですが、故郷から遠く離れた場所で就職する場合、往復の飛行機や列車のチケット料金だけでもかなりの金額になります。日本語部の日本人スタッフの場合も、シーズンとタイミング次第によってはチケット代金が異様に高騰しており、一回の帰省でお給料の1ヶ月分以上が飛んでしまうこともあり、帰国することも楽ではありません。
次に、中国の習慣上、就職をした人は「大人」として認められるので、世代が一つ下の親戚の子供たちに「压岁钱(お年玉)」をあげなければならないことも、帰りたくなくなる理由のようです。ちなみに、最近の相場は1人100元か200元程度ですが、場所によっては1000元以上のところもありますし、金額を競うような習慣を持つ地方もあります。ですから、親戚の人数が多いと莫大な出費になってしまうこともあります。
さらにもう一つは、結婚や出産などを催促されることです。中国では、ほとんどの親は自分の子供が学校で恋愛することを許しませんが、就職してからは、すぐにでも結婚して、子供を産んでくれることを望んでいる人が多いようです。
他にも、例えば、仕事や生活レベルの比較をされることが煩わしい人もいます。同じように都会で仕事をしていても、給料や出世などの事情が異なります。特に出世もせず、収入もそれほど高くない人は、ほかの人と比べられるのが嫌で、帰省を面倒がることがあります。これもやはり、実家に帰ったら必ず、マンション買ったか、恋人できたか、給料いくらだ、とか、子供がいる場合にも、成績はどうだ、など色々と他人と比べられ、話のネタにされるのです。せっかく帰省しても、けなされてばかりでは、明るい新年を迎えられるはずもありません。
言うまでもなく、ただ単に仕事が忙しい人や、また、実家が本当に遠い人もいます。往復時間に丸一日かかる上に、親戚や近隣のお付き合いで何日も潰れ、せっかくの休みなのに休めない、普段より疲れると感じている人も沢山います。そこに色々と「評価」をされた日には、何の為の帰省かわからなくなります。
以上のように、帰りたくない理由は十人十色です。他人から見ると、淡泊で親不孝に思われますが、彼らにもそれなりの理由があるのです。恐归族の出現は、閉鎖的な田舎社会とそこに生きる人の意識が、時代の変化についていけない為の歪みと考えることもできそうです。
キーワード②
【恐聚族】(kǒngjùzú)[名]集会恐怖症患者.
集団の中で人と比べられるものを持たず、自分の仕事や勉強、生活レベルなどに引け目があるなどの理由で、多くの人が集まる集会などの場で他人と比べられることを恐れている人を指します。しかし、こうした人たちは最初からこうした集まりが嫌いな訳ではありません。仕事や生活の向きがよくなって、自分にも人並みに経済力がついたなと考えられるようになったら、進んで集まりに参加するようになります。
中国ではこのところ、同窓会などに参加すると、思い出を語るほかに、収入、住宅、車、そして、子供の話題で花を咲かせる人が多くなっています。男性の場合、奥さんがきれいかどうか、女性の場合、旦那さんがどれだけ稼げる人か、というような話題が多いようです。男女共通の話題は子供の話題で、どんな学校に行っているのか、成績はどうなのか、また、海外留学をさせているのか、その計画をしているかなどが多いようです。元々は同じクラスで分け隔てなく学んだクラスメートたちも、それぞれの人の価値やキャラクターを無視し、なんらかの基準値を設けて優劣を競うようになってしまうのです。
同窓会が、再会を懐かしんだり、喜び合ったりする場所でなくなっているのは悲しいことですが、自分が選んだライフスタイルに自信を持っていれば、他人に影響されず、堂々と同窓会などにも参加できるのではないかと思います。
穿った見方をすれば、互いへの感情が薄れた結果、そうした表面的な数値化されたものを話題にするしかない形骸化したおつきあいが増えていることのあらわれと理解することもできるでしょう。