北京
PM2.577
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ここ数年にわたって中国政府は貧困撲滅を目的とする交通インフラの整備に努めてきました。この動きは、農村部道路の建設や管理、維持、運営などの面で著しい成果を挙げるとともに、貧困脱却の基礎を築いてきました。そうした努力の末、中国の農村部道路の総延長は昨年末の時点で396万キロに達しており、今年も新たに20万キロの改修・建設が予定されています。
その一環として、中国北西部に位置する山西省左権県では、羊角郷(ようかくごう)から十字嶺(じゅうじれい)までの区間で道路の敷設が進んでいます。この道路は将来7つの村落に住む3000人が日常的に利用する道路となり、左権県羊角郷中国共産党委員会の申継紅書記も、「この道路が通れば、100ヘクタールにも及ぶ畑に生えるレンギョウ(連翹)を売ることができるようになる。山の資源で農家が潤うことになるだろう」と期待を寄せています。
レンギョウは春先に黄色い花が咲き乱れる落葉性低木広葉樹で、果実が漢方薬として用いられます。
山々にレンギョウが茂る山西省左権県ですが、ここは国家の指定を受ける貧困地区の一つです。高い山と深い溝に囲まれ、隣の町に行くにも1時間以上山道を歩かなければなりません。このような農村地域の貧困脱却を実現させるためには、道路の敷設からスタートすることが必須になります。そのため、ここ数年、左権県政府は、「農村の道を確かな品質で敷設し、確かに維持・管理・運営する」という「農村の道路建設における四つの確か」を実行に移すことに注力しており、昨年末現在で総計3億7900万元を投資し、320キロの道路の建設を終えています。
左権県の農村の道路建設は、中国政府による近年の農村部の道路建設推進政策の一部でもあります。交通運輸省の呉春耕報道官によりますと、資金投入を増やし、ピンポイントの施策を通じて、2016年末現在の農村部における道路の総延長はすでに396万キロに達し、大型バスが通行できる割合も郷・鎮で99.1%、村落で96.5%に達しています。また、2017年に新しく改修・敷設された農村部の道路は28万5000キロに達し、貧困地区にある9000あまりの村落を通る舗装道路も敷設が終了しています。
呉報道官は、「交通運輸省は農村部の道路敷設を目的とする資金を優先的に確保している。特に昨年には、農村部の道路敷設の為の投資を拡大し、905億8000万元を投資している。そのうち、貧困地区への投資額は704億元に達している。『庭先にはコンクリートの道路が見え、爪先にはバスのステップが見える』という6億の農村部人口の夢が今叶いつつある」と語ります。
また、交通運輸省はこのほど、チベット、雲南、四川など四つの省にあるチベット族居住地区、及び新疆南部の四地州、四川の涼山州、雲南の怒江州、甘粛の臨夏州を含む極貧地区を対象に、交通インフラ整備による貧困脱却の支援を旨とする政令文書を発表しました。この文書は、2020年までに、すべての村落に舗装道路を通し、大型バスが走行する環境を整える目標を達成させるとしています。
交通運輸省総合計画局の張大為副局長は、「極貧地区における外部へ通じる通路の敷設を優先とすると同時に、高速道路や、未開通区間の道路、極貧地区の国道網の整備を重点として、向こう3年内におよそ1500キロの道路を敷設する。また、今年から来年にかけて、貧困地域である128の郷・鎮と、まだ道路が開通していない5700の村落の8万4000キロに及ぶ道路の整備を重点課題として解決していく」と紹介しています。
交通運輸省の計画によりますと、この他にも、中国政府は農村部で20万キロに及ぶ道路を今年新たに敷設することを予定しており、完成後には5000の村落で舗装された道路が開通し、大型バスが走行できるようになるとしています。