ロシアのプーチン大統領は27日夜イスラエルに到着し訪問をはじめました。これは旧ソ連を含め、ロシアの首脳がはじめてイスラエルの土地を踏んだことになります。イスラエルの世論は、これは「歴史的」な訪問だと見ており、双方の指導者も今回の訪問にできるだけ和気藹々の雰囲気を醸し出すため努力しています。しかし、プーチン大統領にとっては、これは困難に満ちた砕氷の旅でもあるのです。
27日夜、プーチン大統領は到着してすぐにエルサレム旧市街のユダヤ教聖地「嘆きの壁」を訪問しました。28日午前、イスラエルのカツァブ大統領が主催した盛大な歓迎式典は、プーチン大統領はカツァブ大統領に当時のユダヤ人がナチスに迫害された彫刻作品を贈呈し、ユダヤ民族とユダヤ人の不幸な過去遭遇への同情を示しました。イスラエルのシャロン首相はプーチン大統領と会見した際、「ユダヤ人とイスラエルは当時のソ連赤軍がナチス強制収容所を解放した歴史的功績を永遠に忘れることができず、プーチン大統領の訪問によって、両国関係がさらに深まることを期待する」と述べました。シャロン首相はロシア語で、プーチン大統領に「あなたはイスラエルの友達だ」と話しました。
双方がお互いに尊重しあうものの、中東和平プロセスやロシアとシリアとの武器売買、イランの原子力発展など一連の重大な問題で、プーチン大統領とシャロン首相はいずれも譲歩しませんでした。プーチン大統領が到着する前に、イスラエル側は、プーチン大統領の中東和平国際会議開催についての提案を支持しないと表明しました。イスラエル外務省のスポークスマンは、「中東和平政治的プロセスはすでに『ロードマップ』計画で詳しく表現されている。パレスチナとイスラエル間を斡旋できる外国の勢力はアメリカしかない」と述べました。
また、ロシアのシリアへの地対空ミサイルの提供計画やイランとの原子力協力などにも、イスラエルは落ち着くことができません。この二つの問題で、プーチン大統領がシリアやイランとの軍事協力はイスラエルの安全に脅威とはならないと再三表明したものの、イスラエル側は相変わらずその既定目標を堅持しています。
明らかに、ロシアとイスラエルは利益が異なることから、多くの問題で依然として埋めることのできな食い違いが存在しています。プーチン大統領が両国関係に張り詰めた厚い氷を突き破ることは簡単ではないでしょう。
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