アチャン族は総人口3万1500人、主として、ミャンマーと隣接している雲南省徳宏ダイ族ジンポ族自治州に暮らしています。
アチャン族のたっだ一人の代表である曹明強代表は自治州の民族芸術研究所の副所長を勤め、現在はもっぱらアチャン族の民間伝説の整理に没頭しているが、詩と小説も数多く書き、全国の「青年優秀作家」の称号に輝いたほどです。
「全人代の代表に選ばれたのは、とても名誉なことだったが、大きなプレッシャも抱えている。私の代表している民族はまだ弱小で、発展が遅れている。はたして彼らの期待にこたえられるのかと、責任の重要さを痛感している。」と述べました。
豪快な性格で、酒を嗜み、踊りもたいへん上手で、感情表現の豊かな曹代表は地元のアチャン族の村では、皆さんの悩み事を聞いてくれる貴重な存在です。一番よく聞かされているのは、「教育費を負担できない」と「生態環境の悪化」だということです。
今回大会で、国境地帯の住民の生活、教育事情、生態環境の改善及び水際管理の強化を訴えています。これには、麻薬の氾濫とエイズ感染がアチャン族の生存状況を大きく脅かしていることが背景だといいます。
「昨年春の全人代でこれらの問題の深刻さを訴えてから、政府から高度の重視を得た。夏から、すべての村に、麻薬取締りチームが駐在するようになり、数億元の対策資金の拠出が決定された」、と全人代代表としての役割を発揮できたことを喜んでいます。
アチャン族の発展をめぐり、政府から積極的に支援されていることに希望を感じていると言います。
これまで、政府から「人口の比較的少ない民族」(注:中国で人口10万人以下の民族への呼称で、中国には全部で22ある)への特別補助金として、アチャン族のすべての郷(注:いくつかの村からなる行政区画)に400万元の発展資金が交付され、アチャン族の村の姿貌が大きく改善されたといいました。
「このような支援は手で触ってみることができ、目で見てとれる本当の恵みなのだ」と曹代表。3万1500人のアチャン族の代表として、「今の自分に二つの願望がある」と胸中を明かしてくれました。「一つは、アチャン族の各村をつなぐ道路の建設。道路があれば、アチャン族の人を外部とつなぐことができる。もう一つはダム工事の建設。ダムがあれば、土石流など自然災害の脅威から人々を守ることができる」。
曹代表の願いが早くかなえられることを祈っています。
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