中国の東南部に、面積がわずか国土全体の千分の0.3に過ぎないものの、全国の国内総生産の2%、財政収入の1%、外資直接投資額の3%を支えている都市があります。それは、総面積約4800平方キロで、総人口445万人の江蘇省・無錫市です。
無錫市は揚子江デルタ地帯に位置し、上海、蘇州などと共に、中国最大級の都市群をなしています。全国の平均発展レベルを大きく上回った無錫市、今何を目指して町づくりを進めているのでしょうか。
このほど、第十期全人代第三次会議に出席するため、北京を訪れた全人代代表、無錫市の楊衛澤書記を中国国際放送局の記者が取材しました。
楊衛澤書記の紹介によりますと、無錫市は中国の都市化プロセスの中で、誇り高い歴史を持っております。ここは、近代では中国民族工業と商業発祥の地でしたが、新中国建国後、中国の半導体地場産業発祥の地となり、改革開放が実施された後、「郷鎮企業」と呼ばれる農村部企業発祥の地ともなったのです。
ここ数年、無錫市は外資を積極的に導入し、都市化プロセスを絶えず向上させてきました。現在、ITを主体とした電子産業や、自動車部品を主体とした機械製造業が地元の産業の特色を織り成しています。今、全国の都市において、無錫市は製造業の生産高では第7位、地域経済総量では第9位にランキングされています。
無錫は淡水湖・太湖のすぐ傍にあり、太湖のほかにも、市内には数多くの河川や湖が交差しており、水面と山間地帯が全体面積の38%に達しています。今後の町づくりを語る時、楊衛澤書記は「清らかな水、人間が親しみやすい水、人間や都市と調和の取れる水、そして、洪水を調節してくれる安全な水を無錫に戻したい。無錫は水清き、山青き、生態環境の良い町を目指している」と指摘しています。
過去に、無錫市は産業発展への傾斜から、太湖の水がある程度汚染されました。近年になって、経済の発展は環境を犠牲にしてはならないと見直され、過去三年間、無錫市は太湖の水質改善の特別対策基金として、中国のお金で300億元の資金を投入しました。これにより、今、太湖の水質が著しく改善されていました。
このような深刻な教訓を汲み取り、楊衛沢書記は「経済発展は環境の負担可能な範囲内でしか行われないし、目先の利益だけでなく、長期的効果、社会的効果、生態的効果も同時に気を配るべきだ」と強調しました。
楊衛沢書記はこれについて、「太湖の水質改善に投入した100億元は何を意味するだろうか。去年、無錫市地方財政の総収入は135億元で、前年比39%の成長を実現し、新らに40億元の財政収入が増えた。100億元は、つまり、昨年、我々の新規増加した財政所得の三年分相当のものだった」と反省気味に語り、そして、今の無錫では、すべての新規プロジェクトが立ち上がる前に、環境アセスメントが義務付けられていることを披露しました。
一方、中国の温家宝首相が3月5日の『政府活動報告』で「調和の取れた社会」の構築を訴えましたが、楊衛澤書記は無錫の課題と努力方向について、「今後、無錫市は市民利益の実現と維持、社会公正さと効率の両立、社会安定の維持という三つの面に一層力を入れていく。と同時に、改革開放の成果を全市民に味わせ、一人一人が皆その個性や長所を発揮し、それぞれが打ち込む仕事が持てるようにし、さらに、無錫市滞在の内外関係者に居住、投資、観光、娯楽などでのニーズに答えていけるよう、力を尽くしていく」と語りました。
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