欧州歴訪を始めたばかりのライス米国務長官は4日、ロンドンで、「米国はイランへの軍事攻撃を議事日程に入れていない」という重要なメッセージを発表しました。ライス国務長官のこの意思表明は、ブッシュ大統領が二日前に行われた一般教書演説で、「和らげた口調」でイラン核問題を口述したことと呼応しています。これらの動きから、二期目ブッシュ政権の外交政策面で現れてきた変化を感じとることができるようです。
米国にとって、イランの核問題は目の敵でした。ここ数年、ブッシュ政権は絶えずイランへの警告を声高にすると同時に、引き続きイランへの制裁措置を強化したり、ひいては、イランへの軍事行動を取る可能性は排除しないと示したりしています。しかし、ブッシュ大統領が今月2日、行った一般教書演説では、イランのことについてわずかにしか言及していません。ブッシュ大統領はその中で、イランは、依然と大量破壊兵器の研究と製造に積極的で、米国への敵視を見せびらかし、テロリズムをサポートしていると述べました。これらの表現を最近徐々にエスカレートした米国の対イラン恐喝政策、とりわけ、二年前の一般教書演説で、イランを「邪悪の枢軸」とした表現と比較すれば、米国のイラン核問題態度での態度は明らかに緩和の方へと変わっていると言えます。
関係筋は、このような変化は、現在米国の置かれている立場と切り離して語ることができないとしています。
まず、軍事行動を主要な手段とした反テロ戦争は予期した効果を取らず、米国自身もしくは世界をもっと安全にすることができなかったことです。
次に、イラク戦争の泥沼に陥った米国は、イランでもう一つの戦場を作り出すことは容易でないことです。
三つ目に、米国の覇権国家としてのイメージを変える必要があることです。米国はイラン問題で恐喝と制裁の手段を取るやり方は、国際社会からの抵抗を受けています。これはまた、米国自らが掲げている「自由と民主の伝播者」としてのイメージとも一致しません。
最後に、米国は欧州諸国との見解不一致を早期になくしたいことです。ブッシュ大統領は二期目の任期が始まってわずか半月後、ライス国務長官を欧州歴訪に派遣し、ブッシュ大統領も来月、ヨーロッパ訪問を予定しています。これらの動きは、米国が引き続き欧州諸国とこれまでと同様、同盟関係を保っていきたいことを物語っています。
しかし、一部の学者が指摘したように、米国のイラン核問題での態度の変化は、二期目のブッシュ政権がもっと柔軟性に富み、実際の効果を重んじる外交政策を今後取るだろうことを物語っていますが、このような面での緩和と自律は、政策の調整に過ぎず、米国の外交戦略に根本的な変化が起きたことを意味せず、米国が覇権主義を放棄することを尚さら意味していません。
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