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中東和平プロセスの進展にとってパレスチナ自治政府の最高指導者アラファト議長の健康状態は重大な影響があります。
過去3年間、イスラエルは「パレスチナ側に交渉パートナーがない」という口実で和平交渉を拒否してきています。
この1年来、イスラエルのシャロン首相はパレスチナ自治区ガザ地区などからの一方的撤退案を提出し、新しい中東和平案「ロードマップ」からの離脱を図っています。
しかし、アラファト議長の容体の悪化はイスラエルの一方的撤退計画の口実が失われることになり、ロードマップの新しいスタートにチャンスを与えるだろうと見られています。
シャロン首相の「一方的撤退計画」はガザ地区にあるユダヤ人入植地からの全員撤退とヨルダン川西岸からの一部撤退によるパレスチナとの分離を中核としています。計画の主な口実は「テロリズムを支持するアラファト氏と交渉することはあり得ない」というものです。
過去の1年間、イスラエルはパレスチナとの交渉を拒否して、一方的撤退計画の実施をアメリカに説得しました。こうして、パレスチナは交渉を通じた利益擁護のチャンスを剥奪されました。
このような情勢の下でアラファト議長の容体悪化はシャロン首相の一方的撤退計画に変化をもたらすだろうと見られています。
イスラエル国内では左派政党はシャロン首相の一方的計画を支持し、右翼政党は反対を示しています。
労働党などの左翼政党は「アラファト氏が病気で政治舞台からフェードアウトする可能性が出てくることにより、イスラエルはパレスチナの新しい指導者と交渉を再開し、一方的な撤退計画を双方の撤退計画に転換すべきである」と見ています。
一方、シャス党などの右翼政党は「シャロン首相はパレスチナの新しい指導者が選出されるまでに一方的撤退計画を凍結すべきである」との意見を表明しています。
これに対し、イスラエル首相官邸は28日声明を発表し、「シャロン首相はアラファト議長の病気の影響を受けず、一方的撤退計画を徹底することになる。イスラエルが受け入れられるパレスチナの新しい指導者が選出されれば、計画を再考慮する」と明らかにしました。
アラファト議長の容体の悪化を受け、アメリカは停滞している新しい中東和平案「ロードマップ」を再起動する可能性があります。
アメリカはイスラエルと同様「アラファト議長が中東和平プロセスを阻害する」という口実の下に、アラファト議長を排除し、和平交渉の凍結とシャロン首相の一方的撤退計画を支持しています。
アラファト議長の病気でアメリカもまた和平交渉の凍結を支持する口実が失われています。
また、当面のイラク情勢を受け、来週選出されるアメリカの次期大統領はパレスチナ問題の解決を中東和平推進の突破口とすることで外交イメージの改善をしようとしている可能性があります。
イスラエルメディアの報道によりますと、EU・欧州連合はロードマップ和平案の再起動でアメリカにより大きな圧力を加えたとのことです。
左派政党メレツのベイリン党首は「アラファト議長の容体悪化はシャロン氏が中東和平に真に誠意を持つかどうかの試金石となる」と語りました。
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