今年の8月22日は今は亡き中国の指導者トウ小平氏の生誕100周年記念日。
1949年の新中国成立以降、中国は社会主義国として旧ソ連の建設様式を学び、経済建設では計画経済を主体とし、経済への国による計画的管理を強調してきました。建国当初、この計画経済体制は国の資源を効果的に使用し、中国経済の発展を促したのですが、その後、計画経済の実施を強調しすぎ、市場要素の経済への調節的役割を無視したことから、中国の経済建設には誤りが起きたのです。
20世紀の70年代末期、中国の二代目の指導グループの核心となったトウ小平氏は内外情勢を深く観察し分析した上で、「相対的に立ち遅れた中国を迅速に発展させていくには、思想を解放し、事実に基づき市場経済を実施するべきだ」と主張したのです。これについて共産党中央党学校の祝彦氏は「1979年の11月26日、トウ小平同志は外国の貴賓と会談した際、社会主義国でも市場経済を実施できるという重要な思想を打ち出し、"市場経済は資本主義社会にしか存在しないというのは間違いだ。社会主義者社会がどうして市場経済を実施してはいけないのか?"と述べた」と話しています。
こうしてトウ小平氏の提唱と指導の下に、中国は1980年に深圳など四つの南部沿海都市で経済特別区を設置し、経済体制のテスト改革に取り組んだのです。その後、経済特別区の経済は迅速に発展し、市場も繁栄し、国民の生活も大幅に改善されてきたのです。しかし、当時の中国では、市場経済を実施するかどうかについてまだ大きな争議があったのです
そこで1992年3月に新聞「深圳特別区報」が重要な文章を載せ、この文章は中国各地で大きな反響を呼んだのです。この文章は、トウ小平氏が深圳など中国南部の沿海都市を視察した際に発表した談話の内容を載せましたが、トウ小平氏はその談話で「中国で経済体制改革を更に進め、市場経済を発展させるべきだ」と強調したのです。
トウ小平氏の深圳視察当時、深圳市政府の責任者を勤めていた李羅力氏は「トウ小平同志は深圳で、社会主義国にも市場があり、資本主義国にも計画がある。社会主義国は市場経済を実施する必要があり、市場経済を実施しなくては、中国の経済には活路はないと強調した」と語っています。
トウ小平氏のこの重要な談話は、中国の社会各界の思想を統一させ、その後、社会主義市場経済体制の確立とその健全化が中国の経済改革の目標となったのです。中国共産党中央党学校の祝彦氏は、このことについて「社会主義市場経済制度の確立に備えた探索過程で、トウ小平氏の思想と指導はなくてはならないものであった」と話しています。
20世紀末期に、トウ小平氏が、中国での改革開放の実施、社会主義市場経済の確立と健全化を提唱して以来、中国経済は毎年9%以上の割合で発展しているのです。トウ小平氏は1997年に逝去しましたが、その市場経済を主体とする経済改革実施の思想は、人々の心に深く植えつけられたのです。
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