暫定政府の首相に指名されたアラウィ氏は1日に暫定政府閣僚名簿を発表し、アメリカの任命によるイラク統治評議会が繰り上げて解散しました。暫定政府は6月30日の主権移譲後正式に任務につきますが、閣僚名簿が発表された当日、活動を始めました。分析家は「イラク暫定政府が直面する任務は軽くない」と見ています。
イラク暫定政府の大統領と閣僚名簿の発表は、イラク内外の広範な人々に注目され、強い反響を呼んでいます。アメリカはイラク新内閣の発足に熱烈な反応を示しました。アメリカのブッシュ大統領、安全保障問題担当のライス米大統領補佐官及びパウエル国務長官は当日、イラク暫定政府の発足に満足の意を示し、これを支持する、とそれぞれ表明しました。アナン国連事務総長、アラブ連盟のムーサ事務局長及びイギリスのブレア首相も、歓迎を表明しました。アナン事務総長は「イラク暫定政府の樹立は新しいスタートである。イラクは多くの困難な作業を完成する必要がある」と述べました。
世論は、樹立されたばかりのイラク暫定政府は多くの課題に直面している、とみています。
まず、第一は政府内部の団結の問題です。暫定政府の閣僚メンバーは各宗教と政治派閥からきていることから、矛盾と意見の食い違いの存在は避けられません。1日の新閣僚メンバーを紹介する式典で、新大統領ヤワル氏は国連が検討中のイラク新決議が『完全な主権』をイラクに与えることができ、イラク国民が自由、独立、民主と統一の国を築き上げることを援助するよう国連安保理に呼びかけました。アメリカ政府とその中央情報局との関係が密接な新首相アラウィ氏は、「イラク国民はその他の国の人民と同じように、外国の軍事占領下で暮らすることを望まないが、現在、イラクは依然として、アメリカを中心とする連合軍の援助を必要としており、『イラクの敵』を打ち破る必要がある」との考えを示しました。したがって、イラク駐在の連合軍は引き続きイラクに駐留すべきであるか、などの一連の問題について、暫定政府の内部には意見の食い違いがでる可能性があると見られています。
第二は、暫定政府とイラク駐留の連合軍当局との関係問題です。イラク統治評議会のあるメンバーは1日「暫定政府は『速やかに』連合軍当局と主権移譲後の連合軍の地位問題について交渉を行う」と表明しました。これに先立って、アメリカ政府の関係者はかつて「連合軍当局はイラクに主権を移譲した後、依然として一定の期間内、イラクにおける軍事力の存在を保持する」と何度も表明しました。大部分のイラク国民は「『占領軍』となっているしているイラク駐留連合軍は主権移譲後、イラクから撤退すべきである」との考えです。暫定政府側はもちろん主権移譲後『完全な主権』を擁することを望んでいます。しかし、ブッシュ大統領は1日、「イラク駐留アメリカ軍は自身の保護の行動を取る権利を持っており、イラク側の同意を求める必要はない」と重ねて明らかにしました。
最後は暫定政府はまだ、イラクの安全と安定をいかにできる早く回復するかの課題に直面していることです。イラク暫定政府樹立が発表された当日、バグダッド市中心の連合軍本部の付近にあるビルの外で、自動車による爆発事件が発生し、少なくとも死者5人、負傷者20人余りが出ました。
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