中国の最高権力機関である全国人民代表大会定例会議は14日、北京で閉幕しました。閉幕後、国務院の温家宝首相は、内外の記者に対して、記者会見を行いました。

記者会見で、温家宝首相は、憲法改正や台湾問題、腐敗反対、中国経済の発展、政治体制の改革など中国国内の問題について記者からの質問に答えました。

台湾問題についての記者の質問に答えた際、温家宝首相は、この問題についての中国の一貫した主張を改めて明らかにし、アメリカとその他の国々が台湾問題で取った立場に賞賛の意を表しました。

温家宝首相は「私は、ブッシュ大統領が去年12月9日に表明した、 "住民投票"を利用して、一方的に海峡両岸の現状を変える台湾のもくろみに反対するという立場を賞賛し、また、世界各国が表明した厳正な態度に賞賛の意を示す。アメリカと世界の国々は、「一つの中国」の立場を公に表明し、これは、台湾海峡地区の平和と安定に有利である。このため、私は、アメリカとその他の国々が明らかにした「一つの中国」の承諾を守り、台湾海峡地区の安定を保ち、中国の平和統一を促進する上でしかるべき貢献をするよう期待する」と述べました。

中国経済について、温家宝首相は、「中国の経済は現在、重要な転換期を迎えている。一面では、去年、経済は速い発展を遂げ、効果と利益は明らかに向上し、活力が増強された点にある。しかしその反面、中国経済が抱えている深層にある矛盾は決して根本的に改めたわけではなく、速い発展のプロセスの中で新たな矛盾や問題が表れている。主として、投資規模が大きくなりすぎ、エネルギーや輸送、重要な原材料の供給が不足し、特に食糧が何年間も連続して減産し、物価が上昇しているという問題が比較的目だっている」と述べ、更に「これらの問題をうまく解決することができるかどうかは、政府にとって新しい厳しい試練になる。このため、政府は、経済運行の中で出てきた突出した矛盾と問題を、適時に、適度に、効果的にきちんと解決し、経済の安定した発展を維持していかなければならない」との態度を明らかにしました。

中国の政治体制の改革について、温家宝首相は、「政治体制の改革が成功しなければ、中国の経済体制の改革が成功するはずがない。政治体制の改革を進めると同時に、政府は、科学的で民主的な政策決定のメカニズムを構築し、法によって行政を行う法治政府を打ちたて、また各方面からの監督を受ける必要がある」と強調しました。

記者会見で、温家宝首相は、中国とロシア、日本、東南アジア諸国連合、インドなどの国々との関係についての記者の質問に答えました。

温家宝首相は、現在の中国とロシアとの関係を積極的に評価し、中ロ両国は今後、経済貿易協力及び戦略的な問題について話し合いを更に進め、両国社会の交流を強化していくとの意思を示しました。

温家宝首相は更に、「中国と南アジア諸国との関係発展は第三国を意識したことは決してなく、中国は南アジア地域が平和と安定を保つことを期待する」と指摘しました。