中国の最高国家権力機構である、全国人民代表大会の定例会議は5日午前、北京で開幕し、全人代常務委員会の呉邦国委員長が会議を主宰しました。国務院の温家宝首相は会議で政府活動報告を行い、その中で、去年の政府活動を振り返り、今年の活動方針や政府機構の整備について述べました。そこで、今日のこの時間は、この報告の主要な内容について、北京放送の張霽蒼記者と龔万鵬記者のリポートをお届けします。
これは、温家宝首相が中央政府を代表して、全国人民代表大会で政府活動報告を行っているところです。この報告の内容をみてみますと、国務院は今年の活動報告と活動方針において、以下のような特徴を示しています。
まず、第一に、報告は全文を通して、経済と社会の、全面的で、調和の取れた、しかも、持続可能な発展という考えを貫いており、経済成長以外の各分野の発展がいずれもこれまでより一層重要視されています。第二に、政府の活動は人民のために行われるもので、人間を根本とする精神がより一層強調されていることです。第三に、農民や、農村、農業に注目し、その発展を政策上で支持する度合いがこれまでより高まり、関連の措置はこれまでになく具体化されていることです。第四に、政府は多くの面で自らの責任を強調し、自らの整備をより重視するようになりました。こうした内容が政府活動の重要部分になるのは、今回が初めてです。
経済と社会の全面的、かつ調和の取れた、持続可能な発展を計るのは、今期政府がスタートして以来の目立った特徴です。今年の政府活動報告は、至るところでこうした考え方を表しており、その重要な表れとして、今年の経済成長の目標について温家宝首相は 「中央政府は、今年の経済成長の目標を7%前後と予想している。これは、マクロ調整の目標の連続性や、経済成長速度とエネルギー、重要な原材料、交通輸送など実際の条件とのつながりを考えたもので、資源と環境にかける負担を軽減しようとするものである。これは、より多くの財力と物資を社会発展と、これまでの発展が不十分である分野を強化することに役立てることだ。」と述べました。
温家宝首相は、また報告の中で、インフレを防ぎ、金融リスクを防止し、さらに人民元為替レートを合理的な水準で維持していくと述べました。
今年の活動について、温家宝首相は9つの任務を出しました。つまり、マクロ調整を強化、改善すること、経済の安定的かつ比較的に早い成長を保つこと、農民の収入増加や農業の増産を実現させること、地域間の調和の取れた発展を計ること、科学と教育で国の振興を図る戦略を引き続き実施すること、就業と社会保障を強化すること、人民の生活をさらに改善することです。この報告を分析して分かるように、中国政府はこれまでより農村の発展や、農民の生活状況をより一層重視し、教育や、医療、科学、文化などの事業をより一層重視し、環境保護や公共の安全、それにエネルギーと土地の持続可能な開発利用、生活に困る人々の生活レベルの向上を、より一層重視するようになっています。
人間を根本とし、人民のために執政する精神は、今年の政府活動報告のまた一つの特徴です。そのうち、農村の発展と農民の生活改善をより重視するようになったことは、もっとも注目されるものです。これは、発展と人々の生活レベルにおいて都市部と農村部の格差の拡大を防ぐのにとって必要なものです。
農業の基盤を固め、それを強化し、農民の収入と農業増産を促すことについて、温家宝首相は 「農業、農村、農民問題を解決することは、われわれの全ての活動の重点の中の重点である。今年は「都市と農村」でのバランスの取れた発展を目指し、更なる直接且つ効果的な政策措置を講じ、農業を強化させ、農業を支援し、農民の収入増加に力を入れる」と述べました。
中国政府が提出した今年の9つの任務の中で「農民の収入増加を実現すること」への説明が最も詳しく、提出された目標と施策が何れもこれまでより詳しくなり、施策の度合いもここ数年来最も大きい、と見られています。例えば、報告では「農業特産税をなくし、今年から5年のうちに農業税を最終的になくす。今年、中央政府は農村の減税改革を支持するため、400億元近く約50億ドルを調達し、また、国家食糧リスク基金から100億元約12億ドルを拠出して、補助手当として、穀物生産農家に提供することにしており、農村と農業への中央財政の投入資金は20%の伸び幅で増える」としています。この他、政府は1100億元約130億ドルに当たる国債を発行する計画で、その第一に重要な投資先は、農村です。中央政府の教育・医療発展計画では農村が優先的な位置に置かれています。
温家宝首相は政府活動報告で、政府機構の整備について五つの面から説明を行いました。その内、注目すべきことは、政府の執政の重点が更に明確にされ、各クラス政府が自らの職能を履行する時に、経済調整と市場監督管理に比べて、社会管理と公共サービスの履行を重視すべきであり、特に様々な突発事件への応急体制の完備に力を入れ、政府の公共危機対応レベルを高める。これは、この一年来、SARSと鳥インフルエンザや重大な公共安全事故の頻繁な発生を背景に、中国政府が明確な対応措置を講じたことです。政府機構の整備について、報告は、政策の民主的な決定と法律による執政を強調し、民衆のための執政、民衆に対する責任、民衆による監督、の執政構想を強調し、更にその関連措置も詳しく提出されました。
これまでどおり、温家宝首相は政府活動報告で、中央政府が香港とマカオ特別行政区で一貫して堅持する「一国二制度」、「香港人による香港管理」、「マカオ人によるマカオ管理」という高度自治方針を実施することを重ねて強調し、香港とマカオの前途に自信を持つことを示しました。これと同時に、中央政府が「平和統一」、「一国二制度」という方針で台湾問題を解決する、という主張を重ねて強調しました。
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