北京時間の12日午後2時28分、中国の四川省ブン川(ブンセン)県では、マグニチュード7.8の大震災が起こり、多くの死傷者が出ています。地震発生から数時間後、温家宝首相をはじめとする政府の調査チームや、中国地震局の救助隊、各地の軍隊による救援チームが被災地に到着して、救援活動に取り組んでいます。ただ地震による山崩れによって、四川省の省都成都から、震源地・ブンセンまでの道路は通行ができず、被災地では連日、大雨が降っていますので、山崩れも相次ぎ、救援活動は難航中で、生き埋めになっている人や連絡が取れない被災者がまだまだいるということです。
実は地震が発生した時、中国国際放送の13階のオフィスにいた日本語部のスタッフたちも揺れを感じました。後で、四川省で地震が発生したことを知り、1600キロ離れたところに発生した地震が北京まで揺れが伝わってきたことに驚きました。これだけの地震となると、被害はきっと相当なものだと思いました。地震が起きた当初は、北京で、いろいろなデマが流れたりしましたが、今回、テレビ局のニュースチャンネルは24時間生放送で地震に関する最新情報を伝えましたので、救援状況がいち早く分かってから、そういうデマもなくなりました。また、政府が直ちに救援隊を出して、温家宝首相が地震発生の数時間後に現地での救援の先頭に立っている光景を見て、国民は非常に勇気付けられました。
地震が起きた翌日から、すでに北京の多くの住宅地や大学、企業、政府機関などでは、義捐金の募集が始まっていました。また、清華大学など多くの大学では、学生たちが長い列を作って献血をしています。そして、いま、多くのポータルサイトの掲示板では、被災地へのお見舞いや、義捐金の呼びかけ、地震で家族を失った孤児たちを引き取って育てたいといった内容の書き込みが、数多く見られます。
ところで、今回地震の震源地「ブンセン」は水偏に「文」、そして「川」と書き、四川省の北西部、阿バチャン族・チベット族自治州の南にあります。面積4,084キロメートル、人口は11万人で、周りには3000メートル以上の高い山に囲まれています。四川省の省都成都から100キロ余りで、その南西部には有名な「臥龍パンダ自然保護区」などパンダの研究センターがあります。
国家林業局の発表によりますと、いま、「臥龍パンダ自然保護区」で飼育されている86頭のパンダは無事で、赤ちゃんパンダはすでに安全な場所に移されました。保護区のスタッフの話では、地震発生の時、数頭のパンダが一時落ち着かない様子でしたが、現在は、通常の様子に戻っています。ただし普段、パンダの食べるえさはブンセンに通じる道路から運ばれているのですが、その道路が通れないため、現在は保護区内で何とか調達しているようです。
いま被災地では、一部の道路がまだ復旧していないため、被害の全貌が明らかになっていないのですが、少なくとも、避難用のテントや、食品、薬品などが非常に不足しているようです。被災地の復旧や被害を受けた人たちの心のケアなど、多くの課題もありますが、現時点では、何よりも被災者の救出と、避難している人たちへの医療サービス、衣食住の確保が最も必要とされていることです。(Lin)
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