北京五輪と同じコースを使って行われるマラソンのテスト大会が20日、北京で開催。朝7時半のスタート直後から降りしきる雨の中、男女70人の選手が力走しました。
日本からは、北京五輪出場が決まっている土佐礼子(三井住友海上)、尾方剛、佐藤敦之(ともに中国電力)らが出場。日本国内で懸念されている大気汚染、路面状況などの下見を兼ねた試走を行いました。
レースは朝7時半のスタートから雨が降り始め、かなり激しい雨の中のレースとなりました。
スタート地点の天安門広場は2重3重の警備体制が敷かれていましたが、その外側には、朝早くから多くの市民がかけつけ、世界各国のランナーの力走を見守りました。
コースは本番と全く同じコースで、北京市中心部の天安門広場をスタートし、世界遺産にも指定されている天壇公園を経由したのち、市西部を北上して、最後は東に向かってメインスタジアム国家体育場(愛称 鳥の巣)にゴールするというもの。
途中の沿道にも、市民や学生、子ども達が詰めかけ、途切れることなく、選手たちに声援を送っていました。その大歓声には、話を伺ったある選手も「あまりに多くて驚いた」と語るほどでした。
結果は中国のエース、女子の周春秀が2時間37分49秒で2位。また日本の土佐礼子が2時間38分04で4位。佐藤敦之が2時間16分55秒で6位などとなりました。
日本勢の今回の参戦は、国内で懸念されている様々な問題を『視察』することです。特に、大気汚染の問題は国内メディアが大きく取り上げていることから、今回の視察の最重点となりました。当日は雨天となったため、晴天時の大気状況とは全く異なるものとなりましたが、選手団は事前に北京入りしており、大会前の様子などを含めて、感想を聞いてみました。
■土佐礼子(三井住友海上)
「あまり空気が悪いとは感じなかった。見た目ではガスがかかっているが、走ってみると、それほど悪くは感じなかった。」
■佐藤敦之(中国電力)
「見た目とは違い、実際走ってみると、全く問題がないと感じた」
■大崎悟史(NTT西日本)
「少なくともマラソンを1回走る上では、問題ないと感じた。」
以上のように、話を聞いた日本代表の3人は「日本で言われているほど大きな問題がない」というのが正直な感想だったようです。
一方、もう一つの不安材料が北京の路面の硬さです。日本のアスファルトが中心のコース設定とは異なり、北京のマラソンコースは、石畳や小石を敷き詰めたような遊歩道など、足元が変化に飛んでいます。これについて佐藤敦之は、「スタート直後は路面の固く感じた」としながらも、体が暖まってくるにつれ、路面にも慣れ、「逆に硬さを利用して、足の動きがテンポよくなった」と振り返っています。この北京の特徴である「路面の硬さ」を自分の味方につけた選手がレースを制するということでしょう。
陸上競技は5月後半に、トラック&フィールドの五輪テスト大会が開かれます。日本代表は、その際にさらに視察を重ね、8月に備えます。
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