「中国の文化を世界にアピールせよ」
新疆を駆け抜ける日本人聖火ランナー・水谷芳利さん
水谷芳利さん(56歳)
長野県安雲野市出身。2004年から中国に進出しているコンピューター会社の社長に就任。
北京五輪の聖火リレーが、今年3月24日から五輪開幕日の8月8日まで行われます。コースは世界5大陸、中国国内を回るものです。それに向けて、2007年6月23日から、北京オリンピック組織委員会は、全世界に向けて、聖火ランナーを募集しました。その結果、史上最多の21880人の聖火ランナーが選出されました。
中国大陸でのランナーは19400人です。彼らは、いずれも各業界で一定の功績を挙げた人や、いわゆる「模範的」とされた人々です。また、この中には中国に滞在している外国人が含まれています。彼らは、ネット投票と専門家の審査により、日本、アメリカ、フィリピン、インドなどから8人が選ばれました。
このうち、日本人の聖火ランナー、水谷芳利さんにお話を伺いました。
記者:聖火ランナーに応募したきっかけは、何でしょうか。
水谷:北京オリンピックは、中国の一大イベントとして、ずいぶん前から、準備や関連イベントが行われ、日本でも注目されています。あるとき、私が社長を務める会社の従業員から、聖火ランナーの募集を聞いて、「じゃ、やってみようか」と冗談半分で応募したわけです。社員たちも賛成して、すごく応援してくれました。このことを知った人は、自分の友人に「水谷さんは、こういうことをやっているよ」と伝えてくれて、その人がまた別の人に・・・と話が伝わって、私たちの小さな会社でありえないほどの得票が集まったというわけです。その過程で皆の応援を頂いたのが何より嬉しかったです。
記者:ランナー決定の知らせを受けた時の心境は、どうでしたか。
水谷:ちょうどその時は、日本に出張していて、北京の会社から連絡が入ってきました。びっくりしました。最初は、半信半疑、冗談だと思って、そんなことはないだろうと思ってたんですけど、会社の何人かから「どうやら本当のようだ」という連絡が入って、ようやく実感が沸いてきました。
記者:どんな思いで聖火を持って走りますか?
水谷:一つは、皆に支えられて実現したことですから、皆の代表という思いをしっかりと持ちたいと思います。もう一つは、あのトーチのデザインに込められた中国文化の深み、伝統の重みを感じながら走りたいと思います。
記者:北京に住む外国人として、北京五輪にどんな期待を持っていますか。
水谷:中国は、日本にとって身近ですが、米国、欧州からは非常に離れています。ところが、中国は、完全に世界経済の枠組みに入っています。経済活動で国際社会の一員となっても、やっぱり文化を理解してもらうことが非常に大事だと思います。ですから、北京オリンピックを通じて、世界の人に、中国文化、伝統ある文化、急激に発展していく調和の取れた北京、中国を理解してもらう・・・そのためには、非常にいいチャンスだと思います。
記者:ここ3年、北京に住んでいるようですが、五輪開催の上、要改善の点をどのように考えていますか。
水谷:これまで各国がやってきた準備に比べると、競技場の建設スピードははるかに速いですね。プレ五輪もうまく行っていると思いますね。今後はまず交通手段の問題です。それから運営だと思います。世界各国から選手、観客の皆さんを迎えわけですが、運営のよさは、競技を見る楽しみといってもいいし、せっかく中国に来た楽しみを倍増させる、大きな評価の分かれ目となると思います。ですから、ぜひ、皆さんを笑顔で迎えて、そして気持ちのよいサービスを提供して欲しいと思います。中国という国を理解してもらうために、その運営をどうするかが非常に大きなポイントだと考えています。
その後、水谷さんの走るコースが決定。新疆ウイグル自治区の「シルクロード」だそうです。日本人ランナーが民族衣装に身を包んだ少数民族の人たちの住む街を駆け抜けるというのは、なかなか興味深い風景ではないですか?水谷さんの聖火リレーを通じて、日本の皆さんにも、オリンピックをもっと身近に感じて頂ければと思います。
聖火リレーのコース(中国語)
URL:http://torchrelay.beijing2008.cn/en/
選ばれた外国人ランナーの顔ぶれ(中国語)
URL:http://www.chinadaily.com.cn/olympics/2007-11/02/content_6224927.htm
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