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嫦娥、月にのぼる
   2007-10-24 16:32:25    cri

  嫦娥、月にのぼる

中国では旧暦の八月十五日が中秋節であり、中秋節は春節(旧正月)、端午節と共に、歴史が最も長く、民族の特色を最も有する伝統的な三大祭日とされている。中秋の日は、家族全員が集まり、月餅や果物を食べながら、月を観賞する風習がある。次は中秋節に関する"嫦娥が月にのぼる"というお話である。

 嫦娥は月の神で、夫の後は勇敢で戦に長けている戦いの神であり、狙ったものには必ず的中するほどの弓の腕をもつ。当時、人間世界には多くの猛禽や猛獣が現れ、人々に災いをもたらしていた。これを知った天帝は、これらの害を取り除くよう後に命じた。そこで後イは、美しい妻の嫦娥を連れて人間世界に来た。後は剛胆であり強いことから、地上の多くの獣に簡単に打ち勝つことができた。こうして天帝から与えられた任務は完成しかと思われたとき、予想せぬ事態が発生した。つまり空に十個の太陽が同時に現れたのだ。実はこの十個の太陽はいずれも天帝の息子であり、これら息子は、いたずらするため同時に空に現れたので、強い日差しを受けた大地の温度はあっという間に上昇し、森林や畑は燃え、川が枯れ、人々の焼け死んだあとの屍がいたるところに見られた。

 これを目の当たりにした後イは心を痛め、彼は、これら十兄弟の太陽がそれぞれ単独に行動し、毎日交替で空に昇るよう説得したが、傲慢な太陽たちは、後イを相手にしないばかりか、わざと大地に近寄ったりしたので、大地はより大きな炎に包まれた。太陽兄弟がこのような悪事を繰り返し、多くの人が焼け死んでいくの見た後イはつい我慢できなくなり、弓を取って太陽たちに矢を放ち、一気に九個の太陽を射落とした。そして最後の一個が命乞いしたので、後イは怒りが収まったのか、弓をしまったのである。

 このように後イは人間のために大きな災いを取り除いたが、天帝を怒らせてしまった。自分の九人の息子が殺されたことに天帝は激怒し、後イ夫婦が天に戻ることを許さなかった。こうして天に戻れなくなった後イは人間世界に残り、人々のために多くの事を成した。しかし妻の嫦娥は苦しい人間の生活に不満を抱き、天帝の息子をむやみに射殺した夫の後イをとがめた。

 その後、後イは昆侖山に住む神の西王母が不思議な薬を持ち、その薬を飲めば天に昇れることを知ったので、彼はその薬を手に入れるため多くの山を超え河を渡り、苦難の末昆侖山に辿り着いて西王母に会った。だが残念なことに、西王母には薬が一人分しかなかった。後イは自分だけが天にもどり愛する妻を置き去りするのをきらい、また、妻一人を行かせて自分が取り残されることもいやだった。そこで仕方なくこの薬を家に持ち帰ってこっそり隠した。

 しかし夫が薬を手に入れたことを知った嫦娥は夫を愛しているものの、かつての天での楽しい暮らしが忘れられなたった。そして八月十五日の中秋の日、夜の月が最も明るいときに、後イが留守だったので、嫦娥はこっそりと薬を飲んだ。すると、不意に体が軽くなって悠々と空へ上り、ついに月に行き着き、広寒宮に住み着いた。しばらくして家に帰った後イは、妻が自分の元を離れて天に帰ったことを知り大いに心を痛めたが、愛する妻を弓で射落とすこともできず、仕方なくそのまま別れてしまったのだ。

そして後イは一人暮らしとなったが、これまでどおり善事をやり続けた。そして弟子を受け入れて弓術を教え始めたが、中に逢蒙という特に上達が早い弟子がいた・この逢蒙は、自分が天下一の弓手となるには、師匠の後イが邪魔だと思うようになり、ある日酒に酔った師匠、後から射殺した。

一方、嫦娥は月に住み着いたが、そこには薬を搗く一羽のウサギと一人の木を切る老人しかいなかったので寂しく思い、毎日月宮で憂鬱な生活を送り、特に毎年の八月十五日の月が最も美しいときに、夫と過ごしたかつての幸せな日々を思い出していた。

 

 

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